1998 Fiscal Year Annual Research Report
表面和周波発生(SFG)分光法による電極反応中間体の構造決定
Project/Area Number |
10740314
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
叶 深 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40250419)
|
Keywords | 和周波発生(SFG) / 構造・配向 / 水素終端化Si(111) / 多光子吸収 / 自己組織化単分子層(SAM) / 鎖長依存性 |
Research Abstract |
「振動分光法」は電極反応における反応生成物や中間体などの識別に重要な手段であるが、従来の振動分光測定は表面のみ選択性をもつものはなかった。本研究では非線形光学の手法の一つである和周波発生法(Sum Frequency Generation,SFG)は、高い界面選択性と高感度に加え、電極/電解質溶液界面における電子移動や構造変化のダイナミックスを解明することが可能とされている。 平成10年度で交付された奨励研究費により、SFG分光システムの構築をほぼ完成し、レーザーシステムはほぼ設計通りの出力が得た。化学反応へのSFG適用の第一歩として、シリコン単結晶Si(111)表面を水素で終端化させ、そのSi-H種の安定性についでSFG法によって調べた。電解質溶液中でも測定可能するため、赤外光は試料の裏から入射できるように工夫した。40%NH4F溶液でSi(111)をエッチングすることにより、2080cm^<-1>付近に一本強いピークが観測された。これはSi(111)表面に形成されたmonohydrideのSi-Hの伸縮振動に帰属され、Si(111)表面は原子レベルで平らかつ単原子層の水素で終端化させることが分かった。光照射下でSi-Hはあまり安定せず、照射時間とともにピーク強度が減少した。一次反応として仮定し、見かけ減衰速度定数を求めた。YAGの倍波(532nm)は基本波(1064nm)より十倍以上速い速度で減衰することがわかった。この減衰速度定数は入射光の光子数との間に指数関係が成立し、シリコンの多光子吸収が関与する可能性が示唆された。Si-Hは水に容易に酸化されるため、現在、電位を制御した条件下で電解質溶液中でのその場観察を努力しているところである。 さらに、金属表面に構築した有機単分子層(SAM)の構造解析についてSFGにより調べた。金属基板との相互作用を定量的に分離した上、SAMの構造解析を行った。単分子の鎖長や末端官能基がSAMの構造配向に影響を及ぼすことを明らかにした。また、電解質溶液中でのそのば観察にも成功した。このようなSFGシステムを用い、高感度かつ超高速で固液界面における吸着分子の構造変化や電子移動のダイナミックスを調べる予定である。
|
-
[Publications] Ye,S.: "Anisotropic dissolution of an Au(111)electrode in perchloric acid solution containing chloride anion investigated by in situ STM-the important role of adsorbed chloride anion." Langmuir. Vol.15. 807-812 (1999)
-
[Publications] Kondo,T.: "Electrochemical control of the second harmonic generation property of self-assembled mono-layers containing a trans-ferrocenyl-nitrophenyl ethylene group on gold." J.Am.Chem.Soc.Vol.121. 391-398 (1999)
-
[Publications] Naohara,H.: "Epitaxial Growth of Palladium Layer on an Au(100) Electrode." J.Electroanal.Chem.(in press). (1999)
-
[Publications] Naohara,H.: "Electrochemical Deposition of Palladium on an Au(111) Electrode: Effects of Adsorbed Hydrogen for a Growth Mode." Colloids and Surfaces A. (in press). (1999)
-
[Publications] Ye,S.: "An in situ EQCM Study of the Anodic Dissolution Process of a Gold Electrode in Perchloric Acid Solution Containing Chloride Ion." J.Electrochem.Soc.Vol.145. 1614-1623 (1998)
-
[Publications] Naohara,H.: "Electrochemical Layer-by-layer Growth of Palladium on an Au(111) Electrode Surface: Evi-dence for Important Role of Adsorbed Pd Complex." J.Phys.Chem.B. Vol.102. 4366-4373 (1998)