1998 Fiscal Year Annual Research Report
光電導度およびマイクロ波同時検出ESR法を用いた高分子中における光電子移動の研究
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10740315
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
生駒 忠昭 東北大学, 反応化学研究所, 助手 (10212804)
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Keywords | 光電導度検出ESR / 光導電性高分子 / 同時検出法 / 異常スピン分極 / キャリヤー生成 / キャリヤー輸送 / キャリヤ再結合 / 電場効果 |
Research Abstract |
機能性の高い光電導性高分子を設計探索する上で、光電導現象に関わる基本的な諸過程を明らかにすることが重要と考えられる。基礎過程を(1)キャリヤー生成、(2)キャリヤー輸送、(3)キャリヤー再結合過程に分け、複合的分光手段でそれぞれのメカニズムを解明しようと計画した。キャリヤーが電荷を持つだけでなく、スピン磁気モーメントを有することに注目し、磁気共鳴法と電気分光法を合わせた観測手段を考案した。 透明電極を蒸着した石英ガラス基盤上にポリビニルカルバゾールをスピンコート法で塗布した。試料の膜厚は10μm程度である。サンドイッチ用に挟まれた試料に電圧を印加し、電極まで拡散してきたキャリアーを検出する。また、同時に磁場も試料に印加し、マイクロ波を用いて電子スピン共鳴を起こすことにした。現在、電極の接着法に問題があり電導度検出には成功していない。しかしながら、薄膜試料に紫外線照射したときのキャリヤー生成過程が関与している異常スピン分極をマイクロ波検出法で明らかにした。キャリヤーは励起一重項からだけでなく励起三重項状態からも起きていることが分かった。電導度検出では明らかにできないスピン多重度に関する情報が得られ始めたところである。また、電子スピン共鳴スペクトルの時間変化は同高分子の溶液状態でのものと異なっている。これは、キャリヤー輸送過程を反映していると考えられ、時間変化の解析を現在進めている。今後は、スピン分極の電場依存性および電導度の測定を行い、キャリヤー再結合過程について研究を続けてゆく予定である。
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[Publications] Y.Nagano et al.: "Electronic and molecular structures of α,ω-diphenylpolyynes in the lowest excited triplet states." chemical physics Letters. (発表予定). (1999)
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[Publications] T.Ikoma et al.: "Twist coaformational effects onthe excited triplet states of aromatic ketones studied by multifreguency TREPR and pulsed EPR spectroscopy" Molecular Physics. (発表予定). (1999)