1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10740316
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小松 徳太郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (50280938)
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Keywords | モット絶縁体 / 分子性導体 / フィリング制御 / 遷移金属錯体 / 光応答性 |
Research Abstract |
1. 遷移金属錯体を対イオンに持つ分子性導体 既知物質κ-(BEDT-TTF)_4(TEA)[Fe^<III>(CN)_6]・3H_2Oについて、光照射によるフィリング制御の可能性を調べた。この物質は常圧下では半導体的な電気伝導挙動を示す。本科研費でタライオスタットを作製し、予備的な電気伝導度測定を行った。Feは低スピン状態にあり、Fe^<II>が含まれていない場合、BEDT-TTF2分子当たり1ホールがある。BEDT-TTFは強く二量化しているため、本物質はサイト当たり1ホールがあるモット絶縁体になっていると考えられる。[Fe(CN)_6]^<3->のt_<2_g>軌道はCN-の強い配位子場により低いエネルギー準位に押し下げられており、近紫外光照射によって配位子→d軌道の電荷移動を誘起することで容易に還元される。以上の背景から、本物質に光照射を行い、モット絶縁体への動的フィリング制御を試みた。12Kにおいて光照射下のESRシグナルを観測したところ、照射前に比べFe^<111>のシグナル強度が減少した。これは、電荷移動により非磁性の[Fe(CN)_6]^<4->が生じたためと考えられる。今後、伝導撃動への影響を調べる予定である。また、上記の結果から、Feのスピン転移に伴って電荷移動が起こる可能性が予想される。このため、関連物質[Fe(NH_2trz)_3]X_2のスピン転移挙動、EXAFSによる構造解析を行った。また、他の候補となる遷移金属錯体を探索するために、本科研費で購入したボテンシオスタットを用いて酸化還元電位を測定している。 2. (BEDT-TTF)Zn(SCN)_3 バンド計算を行った結果、2本に分裂した1次元HOMOバンドがあることが分かった。キャリアドーピングに成功した場合、パイエルス転移に対して安定であることが予想される
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Research Products
(6 results)
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[Publications] E.Omichi 他: "Pressure Depenence of Magnetoresistance and Fermi Surface of (BEDT-TTF)_2Cu_2(CN)_3" Review of High Pressure Science and Technology. 7. 523-525 (1998)
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[Publications] E.Omichi 他: "Shubnikov-de Haas oscillation with unusual angle dependence on the organic superconductor κ-(BEDT-TTF)_2Cu_2(CN)_3" Physical Review B. 57. 7481-7484 (1998)
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[Publications] T.Yokoyama 他: "Spin-crossover phase transition of a chain Fe(II) complex studied by X-ray-absorption fine-structure spectroscopy" Physical Review B. 57. 14238-14244 (1998)
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[Publications] Y.Murakami 他: "Control of Tc and spin bistability in the spin-crossover system,[Fe(4-NH_2trz)_3](R-SO_3)_2" Synthetic Metals.
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[Publications] N.Kojima 他: "EXAFS study on the spin-crossover system,[Fe(4-NH_2trz)_3](R-SO_3}_2" Synthetic Metals.
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[Publications] T.Komatsu 他: "A Weakly Coupled Molecular Spin-Ladder(BEDT-TTF)Zn(SCN)_3" Synthetic Metals.