1999 Fiscal Year Annual Research Report
金属酸化物表面における光励起による一酸化炭素酸化反応機構の解明
Project/Area Number |
10740319
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小澤 健一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (00282822)
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Keywords | 酸化物半導体 / 酸化亜鉛 / 一酸化炭素 / 酸化反応 / 光励起 / 昇温脱離法 / 光電子分光法 |
Research Abstract |
酸化物半導体は、紫外光照射による電子・正孔対の形成により、極めて強い酸化・還元力を発し、様々な化学反応を誘起することが知られている。本研究は、単結晶酸化亜鉛(ZnO)表面(バンドギャップ3.2eV)における吸着CO分子の光誘起酸化反応の素過程を明らかにすることを目的としている。 ZnO(101^^-0)表面に吸着したCO分子は、基質表面の加熱により、ZnO表面の酸素原子と結合しCO_2として脱離する。昇温脱離スペクトルには、470Kと550-580Kに二つの脱離ピークが観測され、二種類のCO吸着状態が存在することが明らかになった(それぞれを吸着状態I及びIIとする)。内殻準位光電子スペクトル測定がら、状態Iは表面酸素欠損のない領域に吸着したCOに、状態IIは隣接酸素原子が欠損したサイトに吸着したCOに由来すると帰属できた。 これらの吸着状態にあるCO分子の光励起酸化反応は、バンドギャップエネルギーより大きい紫外光照射によってのみ発現した。このことは、CO酸化・脱離反応が基質ZnOの光吸収遷移により誘起されることを示す。また、反応断面積は吸着状態の異なるCOでは異なり、吸着状態IはIIに比べて、約1.5倍の反応断面積であった。COの酸化脱離反応では、CO吸着の際に形成されるZnCO_2複合体からの脱離過程が律速段階となっている。吸着状態の違いによる反応断面積の違いは、ZnO結晶内の励起電子のZn-CO_2反結合準位への遷移確率が異なるためであると考えられる。 ZnO(0001)-Zn表面についても、同様の実験を行った。しかし、吸着COの熱励起酸化反応、及び光励起酸化反応については、(101^^-0)表面で観測された結果と大きな違いが認められなかった。この原因については明らかにされなかったが、両表面の価電子準位の電子状態には大きな違いが無く、CO吸着に対する両表面の反応性も似通っていることを反映しているものと考えられる。
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