1998 Fiscal Year Annual Research Report
高還元力を高量子効率で生成する多段階電子移動機構の解明
Project/Area Number |
10740320
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
熊崎 茂一 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助手 (40293401)
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Keywords | 光合成 / 電子移動 / エネルギー移動 / フェムト秒分光 / 過渡吸収スペクトル / クロロフィル / 反応中心 / 光化学系I |
Research Abstract |
(1) フェムト秒過渡吸収装置の高感度化:過渡スペクトル測定においてノイズレベルを3x10^<-4>(吸光度)にまで低減した。また単一波長で過渡吸収時間変化を調べる測定システムを追加設置して、ノイズレベルを1x10^<-4>(吸光度)まで低減した。 (2) 電子励起エネルギー移動の励起波長依存性:光化学系1反応中心のP700が選択励起された場合と短波長吸収クロロフィルが選択的に電子励起された場合では、エネルギー移動過程に著しい違いを見出した。短波長吸収クロロフィルが励起された場合、P700に比較的ゆっくりとピコ秒オーダーで励起移動が見られる。しかしP700が励起された場合、アンテナクロロフィルと考えられる短波長吸収クロロフィルまでのエネルギー移動は認めがたい。 (3) 電子移動速度定数の見積もり:(2)の成果を踏まえて、P700を選択的に励起した場合のみかけの電子移動速度を測定した。P700とその周りのクロロフィル間での電子励起エネルギーのやり取りを考慮すれば、P700からの電子移動の真の時定数は1ピコ秒以下であることが強く示唆された。これは、これまでに報告されている常温における光合成反応中心の最短の時定数よりさらに3倍以上も短い時定数であり、光合成の電荷分離の原理を理解する上で重要な知見である。 (4)極低温測定の準備:極低温での過渡吸収測定のために、測定系の設計、製作を進めた。低速回転光チョッパー(1-2Hz)とそれに同期したデータ取り込みによって極低温における過渡スペクトル測定に最適なシステムが構築できるという基礎的な技術データを得た。
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