1998 Fiscal Year Annual Research Report
新しい有機薄膜作成法のための比較的大きな有機分子のクラスタービーム源の開発
Project/Area Number |
10740324
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 弘幸 京都大学, 化学研究所, 助手 (00283664)
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Keywords | クラスタービーム / 有機薄膜 / クラスター蒸着 / 有機クラスター / 飛行時間型質量分析 / 超音速自由噴流法 |
Research Abstract |
今年度は、クラスター生成装置の設計を入念に行い、それに基づいて現在は製作を進めている。以下、装置の設計について、真空槽、真空ポンプ、クラスター源に分けて説明する。 1. 真空槽は、クラスター生成槽、差動排気槽、質量分析槽から構成される。設計に際しては、特に次の3点に留意した。(1)できるだけ多くの試料気体を真空中に噴出させて、クラスター量を増やすこと。このために、クラスター生成槽は排気コンダクタンスが大きくなるようにした。(2)有機分子クラスター生成確認を効率よく行うこと。生成確認には、クラスターをイオン化して質量分析し、強度・サイズ分布を測定する。感度・分解能が高く、大きな質量数まで質量分析可能なリフレクトロン飛行時間型質量分析装置を用いる。(3)容易に拡張してクラスター蒸着が行えること。蒸着時の残留気体による基板汚染を防ぐためにも、超高真空仕様とし、さらに生成したクラスターの効率よい移送のため、クラスター源から蒸着槽までの距離を短くした。 2. ポンプは、排気速度、最大排気量、得られる真空の質を考慮し、各真空槽に適したものを選択した。特に、クラスター生成槽は最大排気量を大きくする必要がある。このため、10インチ油拡散ポンプに補助ポンプとして本補助金により購入したメカニカルブースターポンプをつなぎ、最大排気量を約1l・Torr/sにすることができた。差動排気槽・質量分析槽は、それぞれ液体窒素トラップ付6インチ油拡散ポンプ、150l/sのターボ分子ポンプを主ポンプとして、十分な排気速度と清浄な真空が得られつつある。 3. クラスター源には、超音速自由噴流法を用いた。この方法では、試料分子をノズルから真空中に噴出し、分子を凝集させてクラスターを生成する。このノズルの形状は、クラスター生成を確認しながら試行錯誤により決定する必要がある。現段階では開口径0.1mm程度のコニカルノズルを製作しており、今後の調整に備えている。
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