1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10740328
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
西川 浩之 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40264585)
|
Keywords | 有機伝導体 / テトラテルラフルバレン / 非対称誘導体 / ラジカルカチオン塩 / ルイス酸 |
Research Abstract |
1. 研究目的 有機伝導体の成分であるドナーの開発においては、伝導の次元性の向上が重要であると考えられている。次元性の向上を考慮レたドナーの設計指針の一つとして、分子内の硫黄原子をよりファンデルワールス半径の大きな重カルゲン原子で置換することによって、分子間相互作用を増大させ、その結果、系の次元性を向上させるというものがある。しかし、TTFのテルル置換体であるTTeF 誘導体をはじめ、テルル原子を組み入れた有機ドナーは、合成上の困難から合成例が非常に少ない。さらに、それらのラジカルカチオン塩にいたっては、良質な結晶を得る事が難しいととから研究がさほどなされていない現状にある。そこで、本研究では、これまで合成上の困難さから不可能であったテルルを含む非対称ドナーの合成法を新たに開発し、そのラジカルカチオン塩の構造および諸物性を明らかにすることを目的する。 2. 研究経過の概要 初年度は、いまだ合成の報缶例がないTTeFの非対称誘導体の合成方法を探索することに主眼を置いて研究を行った。TTeFの非対称誘導体は片側のコンポーネント同士のカップリングという従来の合成方法では合成できない。そこで、近年開発されたスズ化合物とエステルとのルイス酸によるカップリング反応を検討した。まずテルル側をスズでトラップした後、ルイス酸およびエステルと反応させたが、目的とする非対称体は得られなかった。次に、テルルのスズ化合物を塩基性条件下でエステルに変換し、これと対応するスズ化合物とを、ルイス酸で反応させたが、やはり非対称体は得られなかった。これらのことから、テルルの誘導体は酸性条件下で非常に不安定であることが明らかとなった。そこで、現在より温和なルイス酸による反応を検討しているところである。また、TTF骨格の周辺部にテルルを導入したドナーについても検討している。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] H.Nishikawa, et al: "The selenium analogue of DOET and Its Conducting Salts" J.Mater.Chem.8. 1321-1322 (1998)
-
[Publications] J.Yamada, et al: "New Tetrathiafulvalene Donors with Extended Peripheral Substituents by Addition of Heterocycles;Synthesis, Properties, and Molecular Structures" J.Org.Chem.63. 3932-3960 (1998)
-
[Publications] J.Yamada, et al: "Alternative Synthesis of TTF Donors with a Dioxolane Ring, and Synthesis of Their Dithiolane and Oxathiolane Analogues" Tetrahedron Lett.39. 7709-7712 (1998)
-
[Publications] H.Nishikawa, et al: "Electrical Properties and Crystal Structures of Metallic TMVT salts" J.Mater.Chem.in press. (1999)