1998 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解全反射蛍光法による液-液界面化学過程のピコ秒計測
Project/Area Number |
10740343
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
内田 達也 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30261548)
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Keywords | 全反射蛍光 / 界面 / 時間分解 / 電子移動 / 溶媒緩和 / ダイナミックストークスシフト |
Research Abstract |
光誘起分子内電荷移動(CT)を示すペンダント型界面活性蛍光分子n-(9-anthroyloxy)stearic acid(n-AS n=2,6,9,12)を液/液界面に吸着させ,その蛍光挙動を独自に開発した時間分解全反射蛍光法によって計測した。これによって,光誘起分子内電荷移動に伴う溶媒分子の再配置過程を実測するとともに,液/液界面における溶媒分子の空間分布が溶媒和ダイナミクスに及ぼす影響を検討した。2〜12ASの全ての界面蛍光スペクトルに関して,蛍光極大波長の時間依存シフトが観測され,観測初期の発光極大波長およびその時間依存性がアルキル鎖長に依存することを示している。初期の発光極大は,アルキル鎖長の増加に従って発光極大波長が短波長に位置していた。それらの発光は振動構造を有しておらず,ASのへプタン溶液で観測される蛍光スペクトルに類似していることから,回転緩和後のCT状態からの発光であると結論される。そして,ASの回転緩和後の発光極大波長は溶媒極性の低下にともなって短波長化することが知られていることから,アルキル鎖長の増加にともなう極大波長の短波長化は,基底状態における発色団近傍の微視的極性が界面からの距離の増大に伴って低下していることが明らかとなった。一方,本研究で観測された遅い時間領域のダイナミックストークスシフトは,界面付近での微視的極性あるいは誘電率が時間とともに変化していることを示しており,発色団近傍における水分子の存在量がCT状態の形成後に増加することを示唆している。さらに,蛍光強度の減衰曲線の解析結果から,この特異的な溶媒緩和には二つのモードがあり,発色団と界面の距離に応じてそれらの支配性が変化することが明らかとなった。
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[Publications] Kotaro Bessyo: "Intramolecular Excimer Formation Dynamics of 1,3-bis(1-Pyrenyl)propane Incorporated into the Surfactant Assembly Formed at the Silica-water Interface" J.Mol.Cryst.Liq.Cryst.315. 23-28 (1998)
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[Publications] Seiichi Nishizawa: "Anion Sensing by a Donor-spacer-acceptor System : an Intramolecular Exciplex Emission Enhanced by Hydrogen Bond-mediated Complexation." J.Chem.Soc.Perkin.Trans.2. 2325-2327 (1998)