1998 Fiscal Year Annual Research Report
受光部に光ファイバーを装置した分光器を用いた低光量領域における固相の透過光測定
Project/Area Number |
10740346
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松岡 史郎 九州大学, 理学部, 助手 (10219404)
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Keywords | 固相分光法 / 低光量領域 / 透過光測定 / 直接測定 / 光ファイバー |
Research Abstract |
イオン交換体等の固相に目的成分を有色化学種として吸着・濃縮させ,その固相減光度を直接測定する固相分光法では、光量不足をきたさない範囲内で固相の光路長を長くすることが高感度化のためには効果的である。しかしながら固相による吸収や散光による光量不足から、通常の分光光度計では光路長を1cmよりも長くすることができなかった。今回、光源に高輝度のハロゲンランプを,また投受光に光ファイバーを装着したマルチチャンネル検出器を用いれば、減光度値が4を越えるような低光量の領域における透過光測定が可能であることが確認されたので,同領域における定量性の確認を行った。 発色系は鉄(II)-フェナントロリン錯生成系を用いた。錯体を吸着させた固相をセルに充填し、その正味の固相減光度(錯体の極大吸収波長の514nmと錯体の吸収の無い800nmでの固相減光度の差)を測定した。 光路長が1cm以下の場合には、固相減光バックグラウンドと吸着化学種による正味の吸収との和が4を越し5にせまるような領域においても、Lambert則、Beer則の両法則が成立することが確認された。またその測定精度は、固相減光度値が4前後を示す領域では±0.5%以内と良好であった。減光度が5を越えるような低光量の領域でもサンプリングタイムを長くすればかなりの精度で測定することが可能であった。1cm以上の光路長については、角形石英セル、キャピラリー型石英セル、キャピラリー型白金セルについて検討した。白金セルの場合には他のセルとは異なり、固相による散乱光がセル壁により反射され受光部側のオプティカルファイバーに効率的に導かれるため、固相減光バックグラウンドが特に低く、セル長を5cmまで伸長しても透過光測定が可能であり。Lambert則、Beer則の両法則もまた成立することが確認された。
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