1998 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロポーラスな無機化合物を用いた有機イオン選択性電極の開発
Project/Area Number |
10740347
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
谷 幸則 静岡県立大学, 環境科学研究所, 助手 (10285190)
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Keywords | イオン選択性電極 / マイクロポーラス / 無機固体膜 / 有機イオン |
Research Abstract |
トンネル構造を持つマンガン酸化物であるHollandite、Birnessiteを白金板上に、硝酸マンガン及びカリウム、ナトリウムイオンをテンプレートイオンとして合成し(800℃焼結)、種々の大きさを持つアンモニウムイオン(アンモニウム、モノー、ジー、トリメチルアンモニウム、及びモノ-、ジ-、トリエチルアンモニウムイオン)に対する膜電位応答(pH=4.5)を調べたところ、Hollanditeのみがアンモニウムイオンに応答することが観測されたほかは、有意な電位応答をしないことがわかった。特にHollanditeは、アンモニウムイオンに比較的大きな電位応答をするにも関わらず(10^<-2>MでΔE=49.5mV)、メチル基が一つついただけのモノメチルアンモニウムイオンには全く(10^<-2>MでΔE=〜0mV)電位応答せず、リジッドなトンネル構造を持つマンガン酸化物は、ホストイオンの形態を厳格に区別し電位応答する事が確認された。 無機固体膜で比較的重要となる製膜法の検討をした結果、合成したマンガン酸化物粉末をバインダーを含まないプレス法(600kgf/cm^2)によるペレット膜形成(800℃焼結)で製膜した電極では、膜が多孔質性を持つため試料溶液と内部溶液が膜内に浸透し、測定回路として短絡してしまうために膜電位応答を測定することが不可能であった。今後、バインダーを加えて製膜する事が必要であることがわかった。合成したマンガン酸化物粉末を、硝酸マンガンでペースト状にした後、白金板で400℃で焼結したMn_2O_3支持膜では、比較的安定な電位応答をする事がわかった。この方法は、400℃の比較的低温で製膜する事ができ、種々のマンガン酸化物の温度相変化をさせることなしに製膜できる可能性がある。
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