1998 Fiscal Year Annual Research Report
ヘビ類にみられる亜熱帯における寒冷適応の生態的・行動的研究
Project/Area Number |
10740358
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 哲 京都大学, 大学院理学研究科, 助手 (80271005)
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Keywords | ヒメハブ / ハナサキガエル / リュウキュウアカガエル / 採餌行動 / 寒冷適応 / 亜熱帯 |
Research Abstract |
調査は沖縄島北部の国頭村に位置する座津武川にて行った。調査区域は、冬期にリュウキュウアカガエルとハナサキガエルが繁殖することが知られている標高約350mの山間部の渓流である。調査地では12月にリュウキュウアカガエルが、1〜3月にハナサキガエルがそれぞれ異なる場所で繁殖する。本年度はこれらのカエルの繁殖時期を中心に調査を行った。また、6月、8月、10月にも短期間の調査を行った。渓流沿いののべ550mの範囲において、記号放逐法およびラインセンサス法によりヒメハブの個体数、出現位置等を調べた。捕獲時には体温、気温、地表温を記録し、強制嘔吐法により胃内容物を確認した。また、渓流沿いのカエルの出現数もセンサスによりカウントした。さらに、比較として渓流部へ向かう途中の道路上においても、同様の調査を行った。12月にはリュウキュウアカガエルの繁殖域に多数のヒメハブが出現したのに対し、1〜3月にはハナサキガエルの繁殖域に多数のヒメハブが出現し、リュウキュウアカガエルの繁殖域にはほとんど現れなかった。また、同一個体がリュウキュウアカガエルの繁殖域からハナサキガエルの繁殖域へ移動することが確認された。種を同定できた胃内容物のうち、12月では90%以上がリュウキュウアカガエルであった。また、1〜3月では90%以上がハナサキガエルであった。体温は平均16.2度で、地表温および気温と強い相関を示した。冬期以外の調査では、渓流沿いでは5個体のヒメハブを観察したのみであった。以上のことから、ヒメハブは時間的、空間的に2種のカエルの出現に合わせて活動していることが示唆され、このことが、ヒメハブの低温度下での活動に関与していると推測された。
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