1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10740370
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
且原 真木 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (00211847)
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Keywords | 塩ストレス / オオムギ / 根 / 細胞死 / アネキシンV / フォスファチジルセリン / 細胞膜 |
Research Abstract |
プログラム細胞死は、植物細胞において道管形成などの形態形成や病原菌への抵抗性などにおいて中心的な役割をになう重要な細胞機構であると考えられている。研究代表者はオオムギ根これまでに、塩ストレスによって細胞死が誘導されることを報告してきた(Plant Cell Physiol.37:169、38:1091)。塩ストレス環境下の他植物種でも似たように細胞死が誘導されることや、また他のストレス(UVなど)でもやはり細胞死が誘導されることが報告されており、この現象がかなり普遍的であると思われるので、その初期過程をより深く理解することが重要であると考え、研究をおこなった。 動物細胞のアポトーシスにおいては、核DNAの断片化に先立って細胞膜インテグリティーの崩壊が起こるとされている。すなわち、通常では細胞膜脂質二重層の細胞質側に局在するフォスファチジルセリン(PS)の局在がくずれ、細胞外からPSに特異的に結合するアネキシンVによって細胞が標識されるようになる。植物細胞でもこのような現象が起こるかどうか、オオムギ根、オオムギ培養細胞、およびイネ培養細胞からプロトプラストを単離して実験をおこなった。熱処理によって膜の半透性を失わせてから標識するとアネキシンVで標識されることから、細胞内にPSが存在することは確かであった。しかし塩ストレス処理によっては、いくつかの条件を試みてみたが、いずれも標識されるようにはならなかった。核の形態変化やFDA染色性もプロトプラストにおいては、塩ストレスを受けたintactな細胞の反応とは異なっており、プロトプラスト化によって、細胞死誘導機構になんらかの影響があったのではないかと考えている。
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