1998 Fiscal Year Annual Research Report
亜鉛クロロフィルが光合成器官で機能するために必要とするタンパク質構造
Project/Area Number |
10740372
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
永島 賢治 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (80264589)
|
Keywords | 光合成細菌 / 光化学反応中心 / バクテリオクロロフィル / 亜鉛 / 遺伝子 / 塩基配列 / 相同組み替え / 部位特異的変異 |
Research Abstract |
1. Acidiphilium rubrum反応中心遺伝子周辺のDNA領域のクローニングと塩基配列の決定 A.rubrumゲノムDNAのコスミドライブラリーを作成し、すでに得られている反応中心遺伝子をプローブとして約11kbの周辺DNA領域をクローニングした。このDNA断片の塩基配列を決定したところ、反応中心遺伝子の上流部分に他の紅色細菌と同様にバクテリオクロロフィル合成遺伝子群(bchCXYZ)が見られた。 2. Acidiphilium rubrumの光合成遺伝子欠損株の作成および遺伝子相補実験 (1) 各種抗生物質に対する抵抗性を調べたところ、A.rubrumはクロラムフェニコールとアンピシリンに対し感受性であった。そこでA.rubrumの反応中心遺伝子をこれらの抗生物質に対する耐性遺伝子に置き換えたプラスミドを作成し、エレクトロポレーションおよび接合伝達による遺伝子導入・相同組み替えを試みた。 (2) 亜鉛クロロフィルを合成しない通常の光合成細菌Rubrivivax geatinosusおよびRhodovulum sulfidophilumの反応中心遺伝子を抗生物質耐性遺伝子に置き換えたプラスミドを作成した。また、R.gelatinosusの反応中心遺伝子欠損株に広宿主域プラスミドに挿入した同菌の光合成遺伝子を導入したところ光合成機能を回復した。1の結果から、亜鉛クロロフィルを利用する好気性光合成細菌A.rubrumにおいてそれを合成する酵素遺伝子は通常の光合成細菌のものと際だった違いはないことが示唆された。2(1)で作成したプラスミドによるA.rubrum反応中心欠損株の作成は、本菌が極端な好酸性であるため困難が予想される。平行してR.gelatinosus又はR.sulfidophilum反応中心欠損株を宿主としたA.rubrum反応中心遺伝子の発現および色素近傍アミノ酸に対する変異導入を行うことで亜鉛クロロフィルと色素タンパク質問の相互作用がより効果的に研究できると思われる。
|
-
[Publications] Kenji V.P.Nagashima: "Comparative analysis of the primary structure of the reaction center-bound-cytochrome subunit in purple bacteria." Photosynthesis Research. 55. 349-355 (1998)
-
[Publications] Akira Hiraishi: "Phylogeny and photosynthetic features of Thiobacillus acidophilus and related acidophilic bacteria:its transfer to the genus Acidiphilium as Acidiphilium acidophilum comb.nov." International Journal of Systematic Bacteriology. 48. 1389-1398 (1998)
-
[Publications] Keizo Shimada: "Proceedings of 11th International Congress on Photosynthesis" Kluwer Academic Publishers/Dordrecht, The Netherlands, 4 (1999)