1999 Fiscal Year Annual Research Report
水溶性クロロフィル蛋白質の構造と機能に関する分子生物学的研究
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10740376
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
佐藤 浩之 東邦大学, 理学部, 講師 (80187228)
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Keywords | クロロフィル / 乾燥ストレス / 水溶性クロロフィルタンパク質 / プロテアーゼインヒビター / 老化 / クロロフィル輸送 / チラコイド膜 / WSCP |
Research Abstract |
本研究課題では、まず、水溶性クロロフィル(Chl)タンパク質(WSCP)cDNAを大腸菌中で発現させ、その組換えタンパク質を用いてチラコイド膜のChl分子の移動にWSCPが関与しうる事を示した。また、WSCPのシグナル配列について解析し、その特徴が小胞体輸送のものである事を示した。現在、遺伝子導入の技術を用いて、このシグナル配列の機能を詳細に解析している。WSCP中のChl分子がチラコイド膜へ輸送されるかどうかを調べるためには放射標識したChl分子が必要である。このために、緑藻Dunaliella viridisに^<14>CO_2を取り込ませ、標識されたChlを得た。現在、WSCPとの再構成を行っており、Chl輸送におけるWSCPの機能を分析している。また、WSCPのゲノム遺伝子のクローニングについては、カリフラワーゲノム遺伝子ライブラリーをスクリーニングし、現在、50個の陽性プラークを得おり、約30個のクローンの概略を明らかにした。興味深い事に、それらのすべてはWSCPに高い相同性を有するが、全てはWSCP cDNAと事なる遺伝子座であり、WSCPは巨大な遺伝子群を構成している事が、明らかとなった。それらのうち、幾つかのものについては組換えタンパク質を大腸菌で発現させ、Chlとの結合能を有しているものと結合しないものとに分類した。現在、両群の配列を比較してWSCP中のChl結合部位の推定を行っている。 また、現在までにWSCPのcDNAがクローニングされている植物は、わずかにカリフラワー、マメグンバイナズナ、セイヨウアブラナのみである。ダイコンのWSCPはそのソーレ帯の吸収スペクトルに特徴があり、WSCPの多様性の観点から、ダイコンWSCPの性質をしらべ、現在論文を投稿中である。
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[Publications] Satoh,H.,Nakayama,K.,and Okada,M.: "Molecular Cloning and functional expression of a Water-Soluble Chlorophyll-protein,a putative carrier of chlorophyll molecules in cauliflower"The Journal of Biological Chemistry. 273. 30568-30575 (1998)