1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10740378
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Research Institution | Akita Prefectural College of Agriculture |
Principal Investigator |
小西 智一 秋田県立農業短期大学, 生物工学研究所, 講師 (00281650)
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Keywords | アセチルCoAカルボキシラーゼ / フラボノイド合成 / 紫外線照射 / シロイヌナズナ / RNase Protection Assay / シス因子 |
Research Abstract |
フラボノイド類の合成経路にはいくつかの調節部位がある。そのうちで最も初期の調節酵素と考えられるのが細胞質型アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACCase)である。この酵素の遺伝子の発現調節を調べるため、紫外線照射時のシロイヌナズナのフラボノイド合成に関して、その合成量とACCaseの酵素量、およびmRNAの変動とを比較した。 実験開始時のacclとacc2の転写物は、いずれも同程度の低い値であった。ところが紫外線照射の後に数時間以内にacclとacc2の転写が誘導された。特にacclは照射開始後3時間と20時間ほどの二つのピークが現れ、強く誘導された。acclとacc2は同方向につながってゲノム上に存在しているが、これらのうちacclが主要な紫外線応答遺伝子であるようだ。二つの遺伝子が別個に制御されていることは明らかであり、おそらくacclのみが関連するトランス因子があるのだろう。こうしたトランス因子が、一種類で早い反応と遅い反応の両方に関与するのか、あるいは数種類のトランス因子が紫外線反応にかかわるのかは興味の持たれるところである。遺伝子のストレス応答に速い反応と遅い反応がみられる場合がしばしば見られるが、この実験系でのacclの反応もこれらと同じようなメカニズムでおきているのだろう。 ACCaseのタンパク質のレベルも照射後8時間くらいでピークをむかえ、その後に下がる傾向がある。mRNAとタンパクのレベルのピークには数時間のずれがあった。このずれが生じる原因は不明であるが、これらは単純に蓄積量を見ているので、それぞれの合成速度を必ずしも反映していない可能性はある。 アントシアニンなどのフラボノイドは単純に増加していってプラトーに達した。これらの物質は二次代謝の最終産物であり、あまりターンオーバーしないものと考えられる。以上の結果を投稿準備中である。
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