1998 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物のシンク器官発達における糖シグナリングの役割
Project/Area Number |
10740379
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
大藤 雅章 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (90290907)
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Keywords | シロイヌナズナ / シンク / 糖シグナリング / 突然変異体 |
Research Abstract |
シロイヌナズナのCol-0系統を用いて、独自に作製したアクティベーションタギングラインの中からシンク器官の発達異常変異体を単離するため、葉の機能発達異常、低稔性や雄性不稔性、種子の発達異常、などの形質を示す突然変異体のスクリーニングを試み、候補となる劣性もしくは優性の変異体を選抜し、さらにこの中から切り取り葉での糖誘導性のアミラーゼ活性上昇やアントシアニン蓄積増加などに異常がみられる変異体を2次選抜した。 これらスクリーニングされた変異体は、糖シグナリングに異常がみられると推定されることからuns(unusual sugarresponse)変異体と命名し、シロイヌナズナのストックセンターに登録した。uns1変異は劣性の変異だが、変異とT-DNAの挿入は連鎖していなかった。uns1は稔性が低く自家交配するものの次世代の種子の収量は顕著に低下していた。切断葉でのβ-アミラーゼやアントシアニン合成系遺伝子の糖誘導性発現のレベルが低下していた。in vitro培地上での生育は、糖濃度が低いときに葉のクロロフィル含量が低下しpaleleaf表現型を示すが、糖濃度の増加に従いその表現型は軽減され、またこのときearly flowering表現型が観察された。一方、土栽培条件下ではpale leaf表現型を示さないが、late flowering表現型を示した。uns16変異体とuns21変異体の表現型も、葉のクロロフィル含量が野生型植物体より低下する生育条件や切り取り葉における糖応答性などはuns1変異体と良く似ていた。しかしこの他いくつかの類似点と相違点が観察された。uns16変異体は稔性や花成、劣性変異であるなどの点がuns1変異体と類似していたが葉の形態がuns1と明らかに異なった。uns21変異体は、半優性の変異であり、ホモの種子は発芽せず、花成は正常、稔性が正常、であることなどがuns1やuns16変異体と異なっていた。これらの変異体はいずれも別個の遺伝子の変異であると推定され、その遺伝子は糖シダナリングがシンク機能に積極的に関わる部分に関連が深い役割をもつと推定される。
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