1998 Fiscal Year Annual Research Report
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10740384
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
坂本 竜哉 広島大学, 総合科学部, 助手 (10294480)
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Keywords | 環境適応 / 浸透圧調節 / 塩類細胞 / イオン輸送 / 遺伝子発現 / 熱ショックタンパク / Differential display / 魚類 |
Research Abstract |
本研究の目的は、環境浸透圧の変化にともなう塩類細胞の機能分化を、形態・機能・分子レベルで解明することにある。塩類細胞が高密度に存在し、扱いやすいトビハゼの皮膚をモデルとして解析を行った。本年度においては、以下の成果が得られた。 標識コンカナバリンAとDASPEIで塩類細胞を2重染色することにより、開口部をもつ機能している塩類細胞と、開口部をもたない機能を停止している塩類細胞とを区別した。淡水中、海水中のトビハゼで塩類細胞の数は差がない。しかし、開口部は、トビハゼを海水から淡水に移行すると1時間以内に閉じた。また、海水にもどすと開口部は1時間以内に開いた。さらに、皮膚をUssing箱にセットし、Cl^-の分泌速度を示す短絡電流を測定した。トビハゼを淡水に移行すると、短絡電流は速やかに減少しゼロになった。海水中における塩類細胞のCl^-の分泌にはその開口部が開くこと、淡水中でのCl^-の分泌停止には開口部が閉じることが重要であると思われる。 トビハゼの皮膚からDifferential Display法により、淡水、海水適応の過程で発現が変化するものを同定した。電位依存性陰イオンチャネル、フルクトース燐酸キナーゼ、ホスホリパーゼ、そして上述の開口部の開閉に関わる可能性のあるアクチン結合タンパク質、ミオシンが同定された。コルチゾル受容体を制御するHSP90も同定された。よって、今後は、計画どおり、ホルモンとの関連でも検討する必要がある。
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[Publications] Kim,H.T. et al.: "Novel (^3H)clonidine binding sitesin the intestine of the eel acclimated to sea water." Zool.Sci.15. 205-212 (1998)
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[Publications] 坂本竜哉: "ついに同定された哺乳類と魚類のプロラクチン放出因子" 化学と生物. 36. 798-799 (1998)
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[Publications] Shepherd,B.S. et al.: "Is the primitive regulation of pituitary prolactin (tPRL_<177> and tPRL_<188>) secretion and gene expression in the euryhaline tilapia hypothalamic or ...." J.Endocrinol.161. 121-129 (1999)