1998 Fiscal Year Annual Research Report
概日時計形成に対するインドールアミンとカテコールアミンの関与
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10740385
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
伊藤 正則 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (30257349)
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Keywords | メラトニン / N-アセチルトランスフェラーゼ / セロトニン / 概日時計 / 胚発生 / 孵化 / コオロギ / Gryllus bimaculatus |
Research Abstract |
メラトニン合成に関与する酵素の1つであるserotonin(arylalkylamine)N-acetyltransferase(NAT)活性がコオロギ(Gryllus bimaculatus)卵(おそらく胚)に存在し、胚発生中期では昼夜及び概日リズムを示すことを証明した。加えて、このNAT活性の概日リズムは明暗周期に同調することを明らかにした。以上の結果から、コオロギでは胚発生中期に、おおよそ24時間の周期を測る時計機構(概日時計)が既に形成され且つ機能していること、この概日時計は明暗周期への同調機構を保持していることを主張した。私たちはコオロギ胚においてメラトニンが存在し、そのメラトニン含量は、胚発生中期において昼夜変化を示すことを以前報告した。この報告と従来の脊椎動物を用いた研究結果を併せると、私たちが検出したNATはコオロギにおけるメラトニン合成のkey enzymeであり、合成されたメラトニンは測時機構や明暗周期への同調機構の調節因子であることを示唆する。加えて、コオロギでは産卵された直後の卵でもメラトニンやその前駆体であるセロトニンが存在することから、これらの分子が概日時計の形成に対しても作用しているのではないかと推測した。また、コオロギ卵を明暗周期下でインキュベーションすると、暗期と明期が入れ替わる時に孵化が起こることを発見した。さらに、この卵を恒暗条件下インキュベーションした場合、孵化は概日リズムを示すことを明らかにした。
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[Publications] Itoh,M.T.,Sumi,Y.: "Circadian clock controlling arylalkylarnine N-acetyltransferase-like activity in the cricket(Gryllus bimaculatus)egg" Brain Research. 799・1. 172-175
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[Publications] Abe,M.,Itoh,M.T.,Miyata,M.,Ishikawa,S.,Sumi,Y.: "Detection of melatonin,its precursors and related enzyme activities in rabbit lens" Experimental Eye Research. 68・2. 255-262
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[Publications] Itoh,M.T.,Ishizuka,B.,Kuribayashi,Y.,Amemiya,A.,Sumi,Y.: "Melatonin,its precursors,and synthesizing enzyme activities in human ovary" Molecular Human Reproduction. (印刷中).