1998 Fiscal Year Annual Research Report
半導体中の転位に対する水素誘起転位運動促進効果と歪みエピ膜の緩和制御への応用
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10750011
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山下 善文 岡山大学, 工学部, 講師 (80251354)
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Keywords | 転位運動 / 水素プラズマ / バルクシリコン / ガリウムヒ素 / シリコン・ゲルマニウム混晶 / エピ膜 |
Research Abstract |
これまでの我々の研究により,バルクSi中の転位運動が水素プラズマ照射により著しく促進されること(HEDG効果)が分かっている。この知見に基づき,本研究では,p型GaAs及びSi基板上SiGe混晶エピ膜(SiGe/Si)中の転位運動についてHEDG効果を調べた。その結果,p型GaAsについては,水素プラズマを照射した試料ではβ転位の運動が促進される場合があることを見いだしたが,まだ再現性や実験条件の明確化が不十分であり,更なる研究が必要である。SiGe/Siについては,様々な条件で水素プラズマ照射を行ったがHEDG効果は見られなかった。そこで,バルクSi試料に立ち返りHEDG効果を更に詳しく調べたところ,HEDG効果には前水素化処理が不可欠であり転位運動中の水素プラズマ照射は不要であること,470℃程度の低温で水素プラズマ照射した方が促進効果が大きいこと,ある程度の水素化処理でHEDG効果は飽和して一つのアレニウス型の温度依存性になることなどのHEDG効果の特徴が分かった。これらの知見に基づき,再びSiGe/Si試料について適当な水素化条件でHEDG効果の有無を調べたが,やはり効果は見られなかった。そこで水素プラズマ照射した試料を調べたところ,SiGe膜中には水素が侵入ていないことが分かり,そのためHEDG効果が発現しないことが明らかとなった。この理由として,膜が圧縮応力を受けているため格子間型不純物である水素が侵入しにくい可能性が考えられる。そこで,今後は予定どおりバルクGe中の転位運動についてHEDG効果を調べ,さらに引っ張りの応力状態にあるGe基板上SiGe膜を作製しHEDG効果について調べる予定である。また,効果が確認されれば,成膜中に水素を供給することによる緩和状態の違いも研究する。
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