1998 Fiscal Year Annual Research Report
強誘電性液晶・反強誘電性液晶の相転移に伴う層構造形成に関する研究
Project/Area Number |
10750012
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
上原 宏行 東京理科大学, 基礎工学部, 助手 (70266914)
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Keywords | 強誘電性液晶 / 反強誘電性液晶 / 相転移 / 熱膨張 |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画では圧力下での実験を行う予定であったが、装置の納期が遅れたため、次年度実施予定であった密度測定等を中心に研究を行った。得られた結果は以下の通りである。 1. 強誘電性液晶を含むN(^+)-SmA相転移は層構造が形成される相転移である。この相転移では、N(^+)相の温度幅の広さとN(^+)相の熱膨張係数αの間に強い相関があり、N相が広いとαの値はSmA相やIso.相の値に近づく。N相の幅の減少とともにαの値は増加するが、N相の幅をゼロに外挿してもαの値は発散しない。この結果はN相の密度がIso.相とSmA相との密度差を埋めるように変化していることを示しており、N相の幅が狭いときは密度差を埋められず、密度の不連続変化を伴う一次転移をすることを示している。 2. 反強誘電性液晶に不純物をドープすると、液晶分子の長さLと不純物の長さRの比r=L/Rにより、不純物の分散する領域が異なることを示唆する結果を得た。つまり、不純物の増加により、SmAからSmC^α_+、SmC^+相への転移点が下がる。rが1に近い場合、不純物が液晶層の中に分布して双極子-誘起双極子相互作用を弱めるためSmC^α_+、SmC^+相のような傾いた相が形成しにくくなると考えられる。また、予備的実験よりrが大きいと不純物は層間に分布することが示唆され、層間の相互作用が弱められる。このように特別の相互作用を弱め、層形成との関係を調べていく予定である。 3. 静水圧印加は相互作用を強めるため、これとの併用により層形成・再配列について調べるため、圧力印加装置の立ち上げを行っている。すでに、動作確認はほぼ終了しており、測定精度を高めるための調整後に誘電率・D-Eヒステリシスの測定を予定している。
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