1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10750026
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
山口 克彦 埼玉大学, 工学部, 助手 (30251143)
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Keywords | 磁気光学 / 磁性半導体 / 放射光 / 軟X線吸収 / 磁気円二色性 |
Research Abstract |
〔EuO薄膜試料の作成〕工業技術院物質工学研究所無機材料部の超高真空蒸着装置により、まずEuO単層薄膜を作成した。300℃に加熱された石英ガラス基板上にEuOを成長させ、20nmから2000nmまでの厚さの試料を得られた。次にキュリー点の上昇および励起電子の寿命をのばすことを目的として、Gd添加EuO薄膜の作成を行い、Gd添加量1at%から5at%のEuO薄膜を得た。また劣化を防ぐために表面にAlを2nm積んだ試料も作成した。現在Gd添加EuO薄膜と鉄との多層膜化を試みている。 〔基礎特性〕作成した試料はXRDによりほぼ(200)面内に配向していることが確認された.電子顕微鏡のEDX測定からGd添加量が見積もられ、ほぼ予定通りの量が添加されていることが確認された。またSQUID磁束計による磁化曲線の測定では、EuO単体薄膜のキュリー点約70Kに対してGd3at%添加のものでは約120Kに上昇することが示された.しかし温度-磁化曲線はブリユアン関数からはずれており、本来のキュリー点はどこかという疑問を残している。 〔光学特性〕可視から近赤外域での吸収スペクトルを10Kから室温までの温度領域で測定した。低温になるに従ってレッドシフトが見られたが、そのシフト量はEUO単体膜、Gd添加EuO膜のいずれも70K前後で最大となった.すなわち光学吸収量は添加伝導電子との相関が小さい可能性がある。また20nm厚試料では吸収端にGd不純物準位によると思われるピークが分離された。フォトルミネッセンスの測定を試みたが見ることはできなかった。非発光緩和過程が顕著であるのかもしれず、光伝導測定による寿命の見積もりを検討中である。 〔軟x線測定〕SRRC(台湾)の円偏光放射光ラインを使用し、3d-->4f内殻吸収スペクトルを測定した。EuとGdのM4,M5吸収線を分離して測定することに成功した。現在磁気円二色性の測定を進めている。光誘起磁化の観測も同ラインで行うことを検討中である。
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