1998 Fiscal Year Annual Research Report
微小系における混合気体の拡散現象の研究-線形化ボルツマン方程式による直接的数値解析-
Project/Area Number |
10750045
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高田 滋 京都大学, 工学研究科, 助教授 (60271011)
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Keywords | 拡散すべり流 / ボルツマン方程式 / 混合気体 / 拡散係数 / 輸送係数 / 低圧気体 / 希薄気体 |
Research Abstract |
本研究では,混合気体に対するボルツマン方程式の直接的な数値解析法の開発・確立とそれを応用した拡散すべり流の解明にある.本年度は,そのための基礎として,ボルツマン方程式の衝突積分の数値的構成法を確立した.すなわち,まず,衝突積分の混合気体に特有の特徴をつかむため,これがやや縮退した形で現れる数種の積分方程式の数値解析を行った.これらの積分方程式の解からは,流体力学のレベルで混合気体を取り扱う際に必要な輸送係数(粘性係数,熱伝導係数,拡散係数,熱拡散係数)を導くことができる.これらの係数については,これまでソーニン多項式展開に基づいた(高々4項までの)近似解しか導かれていないため,これらの係数の高精度データベースを構築し,上記の近似解の精度検討も行った.続いて以上の準備の下で,本来のボルツマン方程式の衝突積分の数値的構成に着手した.本研究では,ボルツマン方程式の差分解法を想定しており,そのため,格子点上でのみ離散的に与えられた速度分布関数の情報から衝突積分を精度良く求めなければならない.そのための方法として,ここでは既に単一成分気体で実績のある数値積分核法を混合気体の場合に拡張した.すなわち,衝突積分を,格子点上の速度分布関数データと速度分布関数には依存しない数値的積分核との積で表現する.後者は,具体的問題の解析とは無関係に独立に準備しておくべきデータベースである.現在,数値的積分核の構築に際する技術的難点は基本的に解決しており,そのデータベースを構築中である.
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