1998 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギー陽子の中性化を利用した単結晶表面の伝導電子密度解析
Project/Area Number |
10750046
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
鈴木 康文 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (00196784)
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Keywords | 超高真空 / 清浄表面 / イオン加速器 / 中性化 / 表面価電子 / 多結晶薄膜 / 単結晶薄膜 / 単結晶表面 |
Research Abstract |
直径15cm程度の散乱槽にX・Yスリットへ,蒸着源,点スリット,電荷分析配管,半導体検出器(SSD)駆動機構などを取付,奈良女子大学理学部物理学教室において,物質分析用静電加速恭(〜5×10^<-8>Torr)にゲートバルブと差動配管を経由して接続した。約200℃で48時間ベークアウトした後,小型のイオンポンプ(ULVAC PST2CT)で排気することにより,1×10^<-9>Torr程度の超高真空に到達できる散乱装置をつくった。 加速器によりH^+を630〜90OkeVに加速し,X-Yスリットでほぼ0.3mm角にコリメートした後,超高真空散乱槽内の試料薄膜に入射した。試料は膜厚2000AのセルフサポートのAl多結晶薄膜であり,自作のゴニオメータに取り付け,回転によりビームの入射角を0〜90゚まで0.5°程度の精度で変えれるようにした。ビーム出射面は99.98%のAlをその場蒸着して清浄化した。散乱角が0゚の方向に受け角±0.6mradの点スリットを置き,そこを通ったイオンをSSDで検出した。SSDの上流に置いたマグネットでH^+を取り除くことにより,中性フラクションを測定した。入射角は2.5゚から90゚まで変化させ,出射エネルギーが613±9keVのイオンに対して中性フラクションの入射角依存を調べた。 本実験の結果から,入射角を90゚から20゚まで減少するに連れて中性フラクションは少しずつ減少し,入射角が20゚から、4゚まではほぼ一定,入射角が4゚以下で再び少し減少することがわかった。この結果が,表面価電子の効果か別の原因によるものかについて,現在検討中である。これらの実験や結果および考察については本年3月の日本物理学会での発表を予定している。今後は試料を単結晶薄膜や単結晶表面に変えるため,ゴニオメータに回転機器を増やし,また清浄な単結晶表面をつくるためにArスパッタ銃を製作する予定である。
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