1998 Fiscal Year Annual Research Report
輝尽発光現象を医療用陽子線の線量計測に応用するための基礎的研究
Project/Area Number |
10750049
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
納冨 昭弘 筑波大学, 物理工学系, 講師 (80243905)
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Keywords | イメージングプレート / 医療用陽子線 / 線量測定 |
Research Abstract |
医療用陽子線に対するイメージングプレートのダイナミックレンジ、フェーディング特性、エネルギー依存性等を測定した。また、校正された基準線量計(JARP指頭型電離箱)と直接的に比較することにより陽子線に対する感度(単位付与線量あたりの輝尽発光信号強度)を系統的に調べ、陽子線線量測定の可能性を検討した。この結果、照射後の読み出し時間に依存して読み出される信号強度が変化するフェーディング現象や、イメージングプレートの生産ロット毎にIPの感度が有意にばらつくという現象を観測した。フェーディング特性の温度依存性は、通常治療に用いられている温度範囲内では認められず、単一のフェーディング曲線であらわされることが分かった。また、ロット毎のばらつきは、予めそれぞれのイメージングプレートの感度を測定し把握しておくことが可能である。これらの因子を注意深く考慮することにより、良い精度で陽子線の線量を評価できると結論出来る。この測定法で読み出し可能な線量の上限は使用しているスキャナにより制限されており、現在のところ約0.1Gyである。更に、分布測定の可能性を検討するため、ブラッグピークを用いて応答の線形性を調べたところ、エネルギーに依存して実効的に最大で一割程度感度が変化する現象が見られた。この効果を考慮することにより正確な線量分布の評価が可能であり、実際にリッジフィルターで作った拡大ブラッグピークを測定して補正を施した結果は、シリコン半導体検出器や指頭型電離箱で測定した結果と測定誤差内で一致した。
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