1998 Fiscal Year Annual Research Report
非線型偏微分方程式に対する絶対安定な差分スキームの構成法
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10750052
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
降旗 大介 京都大学, 数理解析研究所, 助手 (80242014)
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Keywords | 非線型偏微分方程式 / 差分法 / 安定性 / 保存量 / Cahn-Hilliard方程式 / KdV方程式 / Swift-Hohenberg方程式 / Klein-Gordon方程式 |
Research Abstract |
本研究予算申請時に、絶対安定スキームと期待されるスキームを構成できる対象は汎関数の変分導関数を空間s階微分した形の拡散型偏微分方程式であると想定していた.この方程式群には多くの拡散現象や波動現象を記述する偏微分方程式を含まれる.この方程式に対して本研究の方法により構成されたスキームは上記汎関数の空間積分値が保存(s:奇数)または減少(s:偶数)されるという性質を離散的に再現することが保証される。 本年は,これまでに開発した離散作用素の表現を用いて、上記方程式群に包含される方程式例を収集することから始めた.既知の結果としてNonlinear Schrodinger方程式が上の方程式群に包含される上に本研究で示す方法を(複素関数に拡張することによって)絶対安定スキームと思われるスキームが構成できることが分かっている.また、高次ポテンシャルを持つ非線形格子の運動方程式に対しても同様の結果が期待されている。さらに.本年の研究により,Swift-Hohenberg方程式,線型伝達方程式,線型拡散方程式.プロミネンス温度方程式などが本研究の対象として扱えることが判明した.これらによって上記方程式群が豊かな応用対象を包含することが確認できた.これら収集結果を分類することにより、絶対安定スキームが構成できる方程式のクラスが明らかになるものと期待できるため,現在,各々のスキームのもつ性質を個別に調査しているところである.また仮に、適用し得る方程式のクラスを明確にできなくても、適用し得る方程式の種類をさらに増やすことができると思われる。 また,さらに本年の研究により上記方程式群とは異なる方程式群にたいしても本研究の手法が適用可能であることが判明した.その方程式群は汎関数の変分導関数を右辺にもつ形の波動型偏微分方程式であり,これもまた豊かな対象例を持つものと期待される.本年は,この方程式群にたいしては非線型Klein-Gordon方程式群とShimochi-Kawai方程式が包含されることと,包含される方程式のいくつかについての個別の性質が判明するという結果が得られた. 以上の結果を踏まえると,本年は当初の研究予定を越えてより多くの結果が得られたと評価できると考える.
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[Publications] D.Furihata: "Finite Defference Schemes for (∂u)/(∂t)=(∂/(∂x))^a(δG)/(δu) that Inherit Energy Conservation or Dissipation Property" Kyoto Univ.,Research Institute for Mathematical Sciences,Preprint. 1212. (1998)