1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10750065
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松本 佳宣 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (60252318)
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Keywords | マイクロマシン / stiction / 付着 / 摩擦 / プラズマ重合 / テフロン系膜 / C4F8 / 撥水性 |
Research Abstract |
マイクロマシンにおいては、製作途中や使用中に水の表面張力により部品同士が引き寄せられそのまま付着するというstictionと呼ばれる問題が発生する。本研究は表面エネルギーの最も小さい材料であるテフロン系膜をマイクロマシンに堆積させて付着や摩擦を低減させる研究を行った。本研究ではテフロン系膜の製膜にドライプロセスで製膜が可能で膜質が優れているプラズマ重合法を採用した。このプラズマ重合装置では、プラズマ放電により活性化した材料ガスが拡散によりウェハ表面へ到達して重合反応を起こすため、プラズマ衝撃の影響を受けず良質の膜が形成できる。テフロン系膜の重合ではCとFの比(F/C比)が小さい方が堆積速度が向上する事が知られており、本研究では最も小さいF/C比を持つC4F8ガスを材料ガスとして用いた。また、テフロン系膜の耐熱性の向上させるため、基板加熱を行いかつ添加ガスとしてメタンCH4を加えた。CH4は材料ガスのF/C比を減少させる効果があり堆積速度の向上が図れる。CH4/C4F8比と基板温度を変化させながらテフロン系膜の堆積速度を測定したところ、基板温度が50℃、200℃の両方においてCH4の添加により堆積速度が向上し、特に200℃の場合では10倍近く堆積速度が向上する事が確認された。基板温度200℃、CH4/C4F8比=0.2の条件で製膜した膜は、空気中350℃20分の熱処理に対しても十分な耐熱性を持ち、熱処理後の水の接触角に関しても熱処理温度350℃までは110℃の接触角を持つ良好な撥水性を有していた。これより付着の理論からこの膜が付着防止に有効であることがわかる。実際にこの膜をマイクロマシニング技術により製作された加速度センサに堆積して付着の評価を行ったところ、2000Gに相当する静電引力により構造体を基板に100回接触させたにもかかわらず付着は生じておらず、本方法がマイクロマシンの付着防止に有効であることが確認できた。摩擦低減の効果に関しては、テフロン系膜が摩擦低減にも有効であることが米国Sandia National Laboratoryの研究グループから報告されており、本研究がマイクロマシンの信頼性向上と長寿命化に有効であることが確認された。
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[Publications] Y.Matsumoto, T.Shimada, and M.Ishida: "Novel prevention method of stiction using silicon anodization for SOI structure"Sensors and Actuators A. 72. 153-159 (1999)
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[Publications] Y.Matsumoto,M.Nishimura, M.Matsura, and M.Ishida: "Three-axis SOI capacitive accelerometer with PLL C-V vonverter"Sensors and Actuators A. 75. 77-85 (1999)
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[Publications] Y.Matsumoto, and M.Ishida: "The property of plasma polymerized fluorocarbon film in relation to CH4/C4F8 ratio and substrate temperature"Sensors and Actuators A. (to be published.). (2000)