1998 Fiscal Year Annual Research Report
応力下のゴム粒子キャビテーションに対する力学モデルの構築と超音波非破壊評価
Project/Area Number |
10750067
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
琵琶 志朗 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (90273466)
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Keywords | 高分子材料 / ゴム粒子キャビテーション / マイクロメカニックス / 超音波 / 減衰係数 |
Research Abstract |
ゴム強化された高分子材料(ポリマーブレンド、ポリマーアロイ)の強度特性改善において、応力下のゴム粒子空洞化(キャビテーション)による局所的等三軸応力の抑制と、それに続くマクロせん断帯の形成が重要な役割を果たす。本研究はこの現象に対して、メゾ・マイクロ力学モデル構築による定量的裏付けと,超音波材料評価の立場からの実験的考察を行うことを目的としており、本年度の研究により得られた成果を要約すると以下の通りである。 1. ゴム粒子キャビテーションに対するメゾ力学モデルの 空洞形成の分岐解析モデルを、ゴム粒子ー母材複合系に適用し、球対称有限変形場の厳密な解析を行った。これにより、母材に加えられた比坂的小さいひずみレベルにおいてゴム粒子は空洞化し、その結果、粒子周りの母材変形は等三軸変形からせん断塑性変形へと特徴を変えることが確かめられた(現在、学術雑誌に投稿中)。また、本解析を多軸応力下の粒子キャビテーションに拡張し、さらに多粒子ー母材複合系の挙動解析へ適用するための基礎的考察を現在行っている。 2. ゴム強化メタクリル樹脂における超音波伝ぱ特性の 空洞化したゴム粒子を含む高分子材料の超音波非破壊評価を行うための基礎的研究として、ゴム強化メタクリル樹脂(PMMA)を例に取り、超音波スペクトル解析による縦波・横波の位相速度と減衰係数の測定を行った。その結果、縦波、横波ともに、周波数の増加に伴い減衰係数がほぼ直線的に増加すること、またゴム相含有率の増加とともに顕著に位相速度が低下、減衰係数が増加することが確かめられた。これを用いれば、従来のような位相速度変化のみでなく、減衰係数変化も材料特性の定量的評価に用いることが期待される。今後、応力下でゴム相キャビテーションを生じた試料について同様な測定を行うための検討へと展開してゆく予定である。
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