1998 Fiscal Year Annual Research Report
板材の繰返し弾塑性挙動,摩擦特性のモデル化とそれを用いたスプリングバック解析
Project/Area Number |
10750071
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岡田 達夫 広島大学, 工学部, 助手 (00233338)
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Keywords | スプリングバック / 繰返し塑性 / 弾塑性FEM / 移動硬化 / バウシンガー効果 |
Research Abstract |
本研究は板材成形シミュレーションにおける材料モデルと摩擦の取扱いを厳密化することによって,スプリングバックも含めた最終的な製品形状の実用レベルでの予測手法の確立を目的としている.本年度は主に材料構成モデルの新たな提案と,それを導入した有限要素法(FEM)プログラムの開発を行った.以下にその具体的内容と得られた結果を述べる. まず,冷延鋼板(SPCE),アルミニウム(A5083)の2種類の材料について繰返し曲げ試験を行ない,スプリングバックに大きく影響する材料の繰返し変形特性を実験的に明らかにした.また,集合組織に起因した材料初期異方性とバウシンガー効果の双方を厳密に取扱うため,Hillの2次異方性降伏関数に複合硬化(等方硬化および線形/非線形移動硬化)を導入した新たな弾塑性構成モデルを提案した.さらに,移動硬化の発展式の違いによる異方性挙動の相違について検討し,変形にともなう背応力の発展と初期異方性を独立に扱うことができ,応力反転時のなだらかな遷移軟化も精度良く表現できる新たな発展式を提案した.次にその構成モデルを導入した大変形弾塑性FEMプログラムを開発し,ハット曲げ過程のシミュレーションを行った.ハット曲げにおいては,1.パンチ肩部では離型時(スプリングバック中)に材料の再降伏が起きるため,従来の等方硬化のみを仮定したモデルではスプリングバック量をかなり小さく見積もる傾向があること,2.本研究で提案しているモデルのFEM解析では,縦壁部のそりの曲率はやや大きめに評価するものの,パンチ底から縦壁部,ダイス肩からフランジ部のスプリングバック角度の実験値との誤差は1°以内で,加工後の製品形状を非常に正確に予測することが出来ることなどがわかった.
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