1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10750083
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
吉田 政弘 東京農工大学, 工学部, 教務職員 (80220680)
|
Keywords | 気中放電加工 / 加工面性状 / 酸素ガス / 不活性ガス / 白層 / マイクロクラック / 残留応力 / 高速加工 |
Research Abstract |
気中加工の加工表面性状:気中加工は酸素ガスを供給した場合の加工表面性状について調査を行った.加工条件は,パルス幅100μs,放電電流20Aである.まず,溶融再凝固層(白層)の厚さについて調べた.その結果,液中加工の白層の厚さは15μmに達するが,酸素加工の場合は1μm以下しかないことが分かった.また,機械部品の強度に悪影響を与えるマイクロクラックの数密度が液中加工の場合,酸素加工の85倍以上であり,マイクロクラックの深さも液中加工では15μmに達するのに対して酸素加工では深さ1μm以下のマイクロクラックしか存在しないことが分かった.さらに,加工表面の残留応力について調べたところ,液中加工の加工表面には400MPa以上の引っ張り残留応力の存在が認められたが,酸素加工のそれは、170MPa程度と低い値である.次に,加工表面から深さ方向の硬度分布について比較を行った.その結果,液中加工の加工面は浸炭と急冷により焼きが入った状態であるのに対して,酸素加工の加工表面は母材硬度よりも軟化する傾向があることが分かった.これは,酸化反応による脱炭や熱の影響を受けたためだと考えられる. 不活性ガスによる気中加工:Heガス,Arガスの供給による気中加工を試みた.その結果,放電は安定して生じるが,加工速度が極端に遅くHeガスに関しては全く加工が進行しなかった.この理由として放電1回当たりの加工量が極めて少なく,また,短絡放電が多発するため加工に有効な放電頻度が少ないことが考えられる. 気中高速加工:酸素ガスによる気中加工で鋼工作物の加工を行った場合,酸素ガスと鋼工作物の酸化反応を積極的に利用できる加工条件があることが見出せた.具体的には放電電流とDuty factorが大きな加工条件である.現時点においては,この加工条件で評価できるだけのデータを得ていない.しかし,加工速度は従来の放電加工と比較できないほど速いことは確かである.本発見は気中加工の新たな可能性を示唆するものである.
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 吉田政弘: "気中放電加工における工具電極微消耗のメカニズム"精密工学会誌. 65・5. 689-693 (1999)
-
[Publications] 国枝正典: "気中放電加工"精密工学会誌. 64・12. 1735-1738 (1998)
-
[Publications] M.Yoshida: "Improvement of Material Removal Rate of Dry EDM Using Piezoelectric Actuator Coupled with Servo-Feed Me**."CAPE'98. 283-288 (1998)
-
[Publications] 吉田政弘: "気中放電加工の可能性"機械技術. 47・4. 68-73 (1999)
-
[Publications] 吉田政弘: "気中放電加工における加工速度向上の試み"電気加工学会(1999)全国大会. 81-84 (1999)
-
[Publications] 吉田政弘: "気中放電加工において工具電極形状が加工特性に及ぼす影響に関する研究"電気加工学会(1998)全国大会. 77-80 (1998)