1998 Fiscal Year Annual Research Report
人間の日常歩行における力学的特性の時間-周波数解析
Project/Area Number |
10750174
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
池内 秀隆 大分大学, 工学部, 講師 (50264130)
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Keywords | 二足歩行 / 過渡歩行 / 階段歩行 / 方向転換 / 床反力 / 力学的特性 / 時間-周波数解析 |
Research Abstract |
脚に疾患がある場合や,高齢者にとってより良い環境を工学的見地から提供するためには,第一にさまざまな状況における歩行の力学的特性を把握することが重要である.歩行の力学的特性の周波数領域における解析は,義肢の設計,リハビリテーションへの応用など実用的な面からも重要であり,大変興味あるテーマと考えられる. 実験装置は大型の床反力計(1.8m×0.6m)2台を用いて行なった。本年度は階段歩行、方向転換などの日常歩行の力学的データを主に収集解析した。本研究では以下の事項が明らかになった。 1. 歩行の開始、停止、階段の昇段、降段、それぞれ5歩分の床反力および作用点データを計測し、体重心の速度、位置および力学的エネルギーを計算した。運動エネルギーと位置エネルギーの比較により、歩行開始時にエネルギーを効率的に使っていることを示し、ウェーブレット解析により、時間ー周波数特性を解析した。 2. 片麻痺患者が負荷を持ち立ち上がる際の床反力,作用点データの計測を行い,健常者との比較を行った.データ解析には各データの時間応答の比較とともに,ウェーブレット解析による各レベル(周波数)ごとの,時間変化を計算し,これらから特徴的な振動を比較した. 3. 人が方向転換する際の水平方向床反力の特性について実験を行った。その結果,90°に方向転換する場合は方向転換前の進行方向へは歩行停止,方向転換後は歩行開始の床反力波形にそれぞれ似た結果が得られるが,転換角度を小さくしていくに従い,これらの特徴は崩れ,まっすぐに歩く場合の波形に似ていくことがわかった。 4. 坂道歩行時における身体重心の運動特性について解析した。身体重心の速度は、歩調が速くなると進行方向成分は振幅が小さくなるのに対して、鉛直方向成分は大きくなる。身体重心の変位は、歩調が速くなると横方向および鉛直方向成分は振幅が小さくなり、動きが滑らかになることがわかった。
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[Publications] H.Ikeuchi: "Various Measures of Dynamic Characteristics in Human Transient Walking" Third World Congress of Biomechanics Abstracts. 376 (1998)
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[Publications] K.Shinkoda: "Wavelet Analysis of Standing Stability of Hemiplegic Subjects after Stroke" Third World Congress of Biomechanics Abstracts. 511 (1998)
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[Publications] 池内 秀隆: "人の歩行の方向転換における力学的特性" 第14回ライフサポート学会大会講演予稿集. 67 (1998)
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[Publications] 乙部 由美子: "坂道歩行時における身体重心の運動特性の実験的解析" 第14回ライフサポート学会大会講演予稿集. 66 (1998)
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[Publications] 佐藤 正視: "床反力計の出力特性の解析" 北九州工業高等専門学校研究報告. 32. 71-75 (1999)