1999 Fiscal Year Annual Research Report
電場による原生動物の行動制御とマイクロマニピュレータへの応用
Project/Area Number |
10750198
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
伊東 明俊 東京電機大学, 工学部, 助教授 (50211743)
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Keywords | マイクロマシン / マイクロマニピュレータ / アクチュエータ / 原生動物 / 走性 / 走電性 / 電場 / ゾウリムシ |
Research Abstract |
本研究は,原生動物の持つ「負の走電性」を利用し,電場により原生動物の行動を自在に制御することにより,マイクロマニピュレータとして原生動物を工学的に利用しようとするものである.平成10年度に,電場に対するゾウリムシの反応行動の基礎特性を調べるとともに,薄型の電極付きプールを用いて,ゾウリムシの行動を,映像を見ながらオペレータがジョイスティックで電場の方向を変化させることにより制御すること,コンピュータを使って画像処理によりゾウリムシの位置と遊泳速度・方向を割り出し,急旋回を含まない経路に沿って,ゾウリムシをコンピュータにより自動誘導制御することに成功した.平成11年度は,以上の結果を踏まえ,最初にパルス電場を利用して,PWM制御によりゾウリムシの遊泳速度を制御することを試みたが,ゾウリムシの反応は,その場で回転したり,ジグザグに泳いだりしてしまい,PWM制御は不可能であることが明らかになった.そこで,電場の印加を急に停止すると,ゾウリムシがその場で遊泳を急停止する現象を利用し,急旋回が必要な経路地点に到達したときに,電場を消失させる手法を開発した.これを内蔵した制御プログラムにより,ゾウリムシを星形経路に沿って自動誘導制御することに成功した.さらに,微小な物体をゾウリムシを手動制御して運搬する実験を多数行い,その時の実験映像からゾウリムシの発生力(2.7×10^<-8>N)の測定に成功した.その値をもとに,駆動可能と見積もることができた,直径0.5mmのポリイミド製微小羽根車を作成し,その羽根車を,ゾウリムシを使って回転駆動させることに成功した.この結果は,ゾウリムシをマイクロマニピュレータとして微小機械部品の組み立てに,あるいはインテリジェントマイクロアクチュエータとしてMEMSの駆動に利用することが,可能であることを意味するものである.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 伊東明俊: "電場による原生動物の行動制御に関する研究(その1:直流電場に対する反応の基礎特性と自動制御手法の開発)"日本機械学会論文集C編. 65巻631号. 1078-1084 (1999)
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[Publications] Akitoshi Itoh: ""Application of Protozoa's Galvano-taxis for Bio Micro Electro Mechanical System""Third World Congress of Biomechanics. 313 (1998)
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[Publications] Akitoshi Itoh: ""Motion Control of Protozoa for Bio-MEMS""IEEE/ASME International Conference on Advanced Intelligent Mechatronics AIM'99. 27-32 (1999)
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[Publications] Akitoshi Itoh: ""Motion Control of Protozoa for Bio-MEMS""IEEE/ASME Transaction on Mechatronics. Vol.5 No.2(発表予定). (2000)
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[Publications] 山崎悟史,小林琢,伊東明俊: "電場による原生動物の行動制御に関する研究(繊毛虫の種による制御特性の相違)"第17回日本ロボット学会学術講演会RSJ'99. 207-208 (1999)
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[Publications] 小林琢,伊東明俊: "電場による原生動物の行動制御に関する研究(その4:ゾウリムシの出力測定と微小羽根車の駆動)"日本機械学会バイオエンジニアリング秋季大会講演会. 69-70 (1999)