1999 Fiscal Year Annual Research Report
競争環境下における電力系統セキュリティ制御に関する基礎研究
Project/Area Number |
10750202
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
北 裕幸 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30214779)
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Keywords | 電力系統 / セキュリティ制御 / 予防制御 / 競争環境 / 誘導価格 |
Research Abstract |
本研究では,競争環境下における電力系統のセキュリティ確保に関する,新しい枠組みを創生するための基礎的な研究を行った。 1.事故後の送電線過負荷を対象とした予防制御を想定し,IPP等の分散電源からの契約外電力の購入単価の決定手法を開発し,契約外電力の購入を考慮したことによる予防制御の効果や,全体のコストに与える影響について詳細に考察した。 2.誘導価格は送電損失を考慮した系統増分費とセキュリティ制約に対する限界費用とから構成されており,それぞれの値は,スラック母線の位置によって変化する。そこで本研究では,仮想的なスラック母線を導入し,スラック母線の位置に依存することなく,公平に価格を決定できる手法を開発した。 3.電気事業者側の意図と,分散電源側の実際の行動パターンの違いは,電力貯蔵装置あるいはFACTSなどの能動的な制御装置が導入されていることでかなり緩和できると考えられる。本研究では,そのための基礎検討としてまず,これらの機器が導入されていることで,過負荷制約の範囲内で系統から受電できる最大電力(到達可能電力と呼ぶ)が増加し,しかも各母線毎に差がないように潮流状態を制御できることを明らかにした。今後は,その効果が予防制御のための誘導価格へ適切に反映できるかどうかを検証することが課題である。 4.制御対象として潮流過負荷だけでなく,電圧制約や無効電力制約についても考慮できるよう拡張を行った。同様のアプローチに従って進めることで,分散電源の無効電力に対する価値を算定することが可能となり,これを予防制御のための誘導価格の1つの目安とできるものと考えている。
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[Publications] 山口順之: "競争環境下における電力系統セキュリティ制御に関する基礎検討-複数想定事故に関する試算-"平成10年電気学会電力・エネルギー部門大会論文集(論文II). 342-343 (1998)
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[Publications] 山口順之: "競争環境下における電力系統セキュリティ制御に関する検討"電気学会電力技術・電力系統技術合同研究会資料. 71-76 (1998)
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[Publications] 山口順之: "競争環境下における電力系統セキュリティ制御に関する検討-過酷事故を考慮した場合の考察-"平成10年電気関係学会北海道支部連合大会講演論文集. 117-118 (1998)
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[Publications] 山口順之: "競争環境下における電力系統セキュリティ制御に関する基礎研究-誘導価格の構成要素に関する考察-"平成11年電気学会全国大会講演論文集. 6.16-6.17 (1998)
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[Publications] Nobuyuki Yamaguchi: "Calculation of Internal Components of Nodal Price using Fictitious Bus"Proceeding of the International Conference on Electrical Engineering (ICEE'99),. 387-390 (1999)
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[Publications] 鈴木 大: "無効電力の観点における系統への託送導入の評価"平成11年電気学会電力・エネルギー部門大会(論文II). 354-355 (1999)
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[Publications] 鈴木 大: "系統運用の観点から見た電力系統への託送導入の評価"電気学会電力技術・電力系統技術合同研究会資料. 83-86 (1999)
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[Publications] 山口順之: "競争環境下における電力系統セキュリティ制御に関する研究"電気学会論文誌B分冊. 掲載決定. (2000)