1998 Fiscal Year Annual Research Report
サイドゲート構造をもつ半導体量子細線における電子状態と電子輸送に関する研究
Project/Area Number |
10750247
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
百瀬 英毅 大阪大学, 低温センター, 助手 (80260636)
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Keywords | 半導体量子細線 / サイドゲート構造 / 擬1次元電子系 / 電子輸送現象 / ホットエレクトロン / 半導体超格子 / サイクロトロン共鳴 / 電子有効質量 |
Research Abstract |
GaAs/AIGaAs変調ドープヘテロ基板上に電子線描画装置を用いて幅270〜400nmの細線パターンを描画し、H_2PO_4:H_2O_2:H_2O=2:4:40の混合溶液を用いたウェット化学エッチングにより量子細線構造を作製した。この量子細線の両端部分に電極を設け、電圧が印加できる構造とした。この試料において顕微フォトルミネッセンス(PL)測定を行い、PL信号の高エネルギー部分の減衰係数から電子温度を見積った。最も幅の狭い270nm量子細線では、印加電圧を0Vから20Vに変化させると電子温度が25.3K上昇した。他の量子細線の試料や2次元電子系をもつ試料ではこれほどまでの温度上昇は観測されず、試料の個性による問題も含まれるものと考え、詳しい解析は今後の課題とした。 量子構造における電子状態をより詳しく解析するために、サイクロトロン共鳴による電子有効質量と電子のエネルギー準位について解析を行った。実験試料には分子線エピタキシー法により作製したInGaAs/GaAs超格子とInGaAs/AIAs超格子を用い、一巻きコイル法による超強磁場発生装置を用いて150Tまでの磁場下でのサイクロトロン共鳴を観測した。その結果、(InGaAs)_n/(GaAs)_n超格子中の電子有効質量は、積層数nにほとんど依存せず0.076m_0が得られたが、(InGaAs)_n/(AIAs)_n超格子では0.073m_0(n=6)から0.081m_0(n=12)と積層数に依存することが分った。さらに(InGaAs)_<14>/(GaAs)_<14>超格子では、ランダウ準位と不純物準位との間で電子が遷移したことが原因と見られるヒステリシスなサイクロトロン共鳴信号が観測された。
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