1998 Fiscal Year Annual Research Report
組合せ最適化問題のためのカオス的ニューラルネットモデルの数理と大規模問題への応用
Project/Area Number |
10750278
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
石井 信 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教授 (90294280)
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Keywords | 組合せ最適化 / カオス / ニューラルネット / 二次割当て問題 / 平均場近似 / EMアルゴリズム |
Research Abstract |
本年度は、既に提案したニューラルネットワークモデルに基づく最適化手法(二重制約ネットワーク)について、新たにオペレーティングリサーチ(OR)などにおける知見を基に、数理的考察を加え、手法の強化を行会った。 1. カオス的ニューラルネットモデルによる最適化手法は、最適化すべき関数(目的関数)の解を状態空間上で次々と探して行く、多点探索法である。その際に、目的関数の状態空間上での起伏が大きいと、カオスの非平衡探索機構が効果的に働かない。そこで、目的関数にあらかじめ座標変換を施すことにより、起伏を緩やかにする手法を提案した。これにより、同じ探索時間について、より多くの解を探索できるようになり、性能が向上した。 2. ORで広く用いられている局所探索法であるλopt法のアナログ版を開発した。従来のニューラルネットワークによる最適化手法では、大域的なエネルギーの緩和に基づいているため、大域的に解を探索していた。一方、新しい方法では、λ近傍と呼ばれる局所的領域においで、局所的なエネルギーの緩和を行ない、解を探索していく。これを非平衡に続ける。また、ORの手法では、計算量の都合により、局所的領域の大きさを表すλとして高々3から4程度が用いられてきたが、新しいアナログの手法によれば、問題に応じて数十の値を用いることができる。より広い領域を次々と探索することにより、得られる解が大幅に向上した。 以上の研究を、非常に難しい組合せ最適化問題として知られる2次割当て問題(QAP)に応用した。結果として、我々の手法はQAPに対する現在最も強力なアルゴリズムの一つであることが分かった。実際、いくつかのべンチマーク問題について、今までのチャンピオンデータを上回る成績が得られている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Ishii,S.& Sato,M.: "Constrained neural approaches to quadratic assignment problems" Neural Networks. 11. 1073-1082 (1998)
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[Publications] Ishii,S.& Sato,M.: "On-line EM algorithm and reconstruction of chaotic dynamics" Neural Networks for Signal Processing(IEEE). VIII. 360-369 (1998)
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[Publications] Ishii,S.& Sato,M.: "On-line EM algorithm and reinforcement learning" ICANN98(Springer-Verlag). 1127-1132 (1998)
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[Publications] Ishii,S.: "Deterministic annealing and chaotic annealing in a neural approach to quadratic assignment problem" Methodologies for the Conception,Design and Application of Soft Computing(World Scientific). 2. 892-895 (1998)