1999 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚代行のための触感を利用した触覚ディスプレイの基礎研究
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10750306
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
和田 親宗 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (50281837)
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Keywords | タクタイルボコーダ / 聴覚障害 / 触覚 / 触感 / あらさ感 |
Research Abstract |
研究の最終的な目的は重度の聴覚障害者に音声の情報を呈示するような装置(タクタイルボコーダ)を開発することにある。与えられる情報量を増やすために、音声の質を触覚の質感(触感)に変換し呈示できないかと考えた。今年度は、触感の内、「ざらざら感」を工学的に惹起させることを試みた。 使用者は、手話などを使うため指先を自由に動かせないといけない。そのため、触感を呈示する触感ディスプレイは指先に固定されないといけない。この場合、触感ディスプレイと指先との相対位置は変わらず、触覚刺激だけが指先上を移動することになる。ところで、ディスプレイの指先への装着条件によって、惹起される触感は大きく異なる。そこで、まず、触感ディスプレイの指先への装着条件を求めた。実験では、触覚刺激を指先上で動かし、粗さが最も知覚しやすくなる指先の押しつけ力と刺激の移動速度を求めた。使用者に違和感なく粗さ感を呈示するためには、現実環境での「ざらざら感」をもとに設計しなければならない。そこで、現実環境で粗さを感じるサンドペーパを触感刺激として用いた。その結果、指をサンドペーパに30gf以上押しつけ、サンドペーパを40〜50mm/secの速度で移動させたときに、「ざらざら感」を最も知覚させられることがわかった。 次に、改造した点字ディスプレイ(触覚ピンが二次元に配置されている)を触覚ディスプレイとして用いて、「ざらざら感」を惹起させられるかを得られた条件下で調べた。その結果、触覚ピンの振幅が140〜280μmの場合に「ざらざら感」を惹起させられることがわかった。 最後に、惹起された「ざらざら感」がどの程度の粗さ感に相当するかを、サンドペーパを基準に表すことを試みた。その結果、今回使用した触感ディスプレイでは、サンドペーパの#40〜#90に相当する粗さ感を惹起させられることがわかった。
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[Publications] 和田親宗: "異なる触感を利用した聴覚代行方式の提案"ヒューマンインタフェース学会誌. 1(3). 29-34 (1999)
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[Publications] Chikamune Wada: "A proposal to correct depth perception of virtual objects by using tactile feedback"1999 IEEE International Conference on Systems, Man and Cybernetics. 13-5 (1999)
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[Publications] 庄司寿一: "重度聴覚障害者の音声受容における触覚の関与について"日本音響学会 聴覚研究会 資料. H-99-39. 1-8 (1999)
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[Publications] 坂尻正次: "振動を用いた指点字呈示方式による盲ろう者コミュニケーション支援機器の開発"信学技報. HCS99-2. 11-18 (1999)
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[Publications] 赤井亮仁: "表面粗さ感を惹起させるための触覚ディスプレイに関する基礎的研究"日本バーチャルリアリティ学会 大会論文集. 447-450 (1999)