1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10750317
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
福村 直博 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (90293753)
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Keywords | 把持運動 / 運動計画 / 把持運動成分 / 到達運動成分 / 最大アパーチャ / ダイナミクス / t検定 |
Research Abstract |
ヒトがコップに手を伸ばすような把持運動の際に、正しくコップの位置に手を伸ばし、コップの形に合わせて手の形を準備するように、運動指令を脳が計算していると考えられている。この把持運動の運動計画に関しては、視覚系の処理においで対象物の位置と形の知覚の処理が独立に行われ、それぞれの情報を用いて肩や肘の運動である到達運動と指先の運動である把持運動の運動指令を独立に計算し、両方の運動時間だけを合わせるような運動計画が計算されているという仮説がある。この仮説を検証するために、腕のダイナミクスを変えて、到達運動成分の運動指令を変化させた場合の把持運動成分を計測した。三次元位置計測器(OPTOTRAK)を使い、被験者の人指し指と親指の先端、手首の三箇所に位置センサを取り付け、把持運動の軌道を測定した。被験者は体の正面にある直経2.4cmの円柱を摘んでいる状態から、30cm前方にある直径6cmの円柱を握るように指示された。被験者の腕におもりをつけて腕の質量を変えた場合と、腕にゴムをつけて腕の弾性係数を変えた場合でこの把持運動を行ってもらい、何もつけない状態での把持軌道と比較する。各条件下で10回を1セットとして、20セット行ってもらった。4人の被験者で計測を行い、それぞれの条件での把持運動軌道の最大アパーチャ(親指と人指し指の開き幅の最大値)と最大アパーチャになるタイミングを求めて、各被験者毎に条件間で有意差5その結果、おもりをつけた時もゴムをつけた時も、ほとんどの被験者で最大アパーチャとタイミングに有意な差は見られなかった。すなわち、腕のダイナミクスの変化による到達運動成分の運動指令の変化が把持運動成分に影響を与えない傾向にある。したがって本研究では到達運動成分と把持運動成分の運動指令は独立に計算されている可能性を示唆する結果が得られた。
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