1998 Fiscal Year Annual Research Report
悪条件逆散乱問題の解法とその医用超音波計測法への応用に関する研究
Project/Area Number |
10750324
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
濱本 和彦 東海大学, 第二工学部, 講師 (50266368)
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Keywords | 超音波 / 医用画像 / 回折トモグラフィ / 画像復元 / 悪条件問題 / 逆散乱問題 |
Research Abstract |
超音波の波動性を考慮して逆散乱問題を解くことにより,生体の音速分布を定量的かつ波長以下の高分解能で再構成する手法として「回折トモグラフィ」が提案されている。しかし一般的なCTと同様,生体の全周囲方向からのデータ計測が必要であり,現在の診断装置の利点を維持したまま計測を行う場合,画像再構成は悪条件問題となる。特に反射型の場合は,低周波成分の欠落による画像の劣化も大きな問題となる。本研究の目的は,この悪条件逆散乱問題の解法を開発し,それを医用超音波計測へ応用することにより,現在の超音波診断装置の利点を維持したシステムにおいて,定量的で高分解能な医用超音波画像を再構成することである。 これまでにこの問題の解決法として,繰り返し補正法と最大エントロピー法を組み合わせた方法を提案しているが,反射型に適用した場合,欠落している低周波成分が一様に増幅され,定量性の復元の効果が少ないのが問題となっている。今回は,画像復元におけるエネルギー関数の周波数成分誤差を表す項にフィルタ関数をかけ,定量性の復元効果の向上を図った。様々な形状のフィルタについて検討したが,周波数値の絶対値に比例するような単純なフィルタ形状であっても大きな効果が得られることがシミュレーションにより示された。これは,高周波成分の誤差に敏感に反応するようにエネルギー関数を変更したことにより,より細かな音速の変化も定量的に再構成できるようにしたものである。従来法で49.17%であった誤差が今回の手法により29.04%まで減少した。 今後は,さらなる画質の向上を目指し,現在開発中のWavelet変換を用いた新しい手法を完成される事が課題である。また,実験の準備も進行中であり,最終的には,簡単なファントム実験によるこれら画像復元手法の検証を行う予定である。
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