1998 Fiscal Year Annual Research Report
新規な複合酸化物薄膜を用いる大気環境センシング用超高感度半導体ガスセンサーの研究
Project/Area Number |
10750325
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮田 俊弘 金沢工業大学, 工学部, 講師 (30257448)
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Keywords | 複合酸化物薄膜 / ガスセンサ / (ZnO-In_2O_3)x-(MgO-In_2O_3)1-x / オゾン / 塩素 |
Research Abstract |
本研究は、新規な複合酸化物薄膜を採用することにより、塩素やオゾンガス等の大気環境ガスに対して極めて高感度のガスセンサー素子を実現することを目的としている。平成10年度は、以下に述べる成果を上げることができた。 大気環境ガスセンサー用材料として、全く新規な酸化亜鉛ー酸化インジウム(ZnO-In_2O_3)系薄膜、(MgO-In_2O_3)系薄膜およびその両者を組み合わせた(ZnO-In_2O_3)x-(MgO-In_2O_3)1-x複合酸化物薄膜を高周波マグネトロンスパッタ法により作製するために、ターゲットの作製技術および各薄膜の最適作製条件を確立した。具体的には、前者に対してはZnO、In_2O_3およびMgOの材料混合比、焼成温度及び焼成雰囲気をパラメータとして変化させた。後者に対してはスパッタ成膜時の基板温度、スパッタガス圧、基板ーターゲット間距離、スパッタ投入電力をパラメータとして変化させた。これらのターゲットおよび薄膜作製条件と作製したガスセンサ素子の塩素およびオゾンガスに対するガス検出感度特性との関係を詳細に検討した結果、ターゲット組成を(ZnO-In_2O_3)0.6-(MgO-In_2O_3)0.4とし、基板温度275℃、スパッタガス圧6Pa、基板ーターゲット間距離25mm、スパッタ投入電力80Wの成膜条件下で作製した複合酸化物薄膜を採用したガスセンサ素子において、0.01ppmという極めて低濃度から塩素ガスを検出でき、漠度7ppmの塩素ガスに対しては約100倍の高い抵抗変化を実現できた。一方、ターゲット組成を(ZnO-In_2O_3)0.2-(MgO-In_2O_3)0.8とし、上記と同様のスパッタ成膜条件で作製した複合酸化物薄膜を採用したガスセンサ素子において、0.4ppmという極めて低濃度からオゾンガスを検出可能なガスセンサ素子を実現した。これらの結果から、本(ZnO-In_2O_3)x-(MgO-In_2O_3)1-x複合酸化物薄膜は膜の化学的組成を制御することにより、塩素、オゾンに対してそれぞれ高感度のガスセンサーを実現できることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)