Research Abstract |
昨年度,制御系と構造系の同時最適設計法の開発の簡単な応用例として製作した非ホロノミック2輪車の研究から明らかになった同時最適設計法を開発する場合の種々の問題点や課題,それらの解決の糸口を基に,本年度は,より一般的なシステムとして自動車の4輪操舵システムを対象とし,入力偏差を用いた評価規範を提案として,ロバスト制御系と構造系の同時最適設計法の開発に対する研究を行なった. まず,入力偏差の2乗誤差積分による積分型二次形式制約を提案し,これを用いて,二段階でロバスト制御系と構造系の同時最適設計を行なう手法を開発した.第一段階は,構造系の物理パラメータを制御し易さの観点から評価するとともに,与えられた範囲と制約の中でもっとも適したパラメータ値を導出するものであり,第二段階は,第一段階で得られた構造系の物理パラメータ値に計測誤差や経年変化による不確かさが存在することを想定して,このような不確かさに対してロバストなシステムになるようMinimax最適化の概念を基にロバストコントローラを設計するものであり,この結果を8月にドイツで開かれた国際会議The 5th European Control Conferenceにて講演発表した. また,定式化された最適化問題を効率良く解くための最適化ツールの開発に関する研究も同時に行なった.昨年度は,問題の解がパレート最適になる場合に対応するため,パレート分割手法を用いた遺伝的アルゴリズムを開発したが,本年度は,これをさらに洗練化させた.一方,制御系のロバスト性まで考慮した場合の一般的なシステムの同時最適設計問題においては,パレート解の問題に加え,かなり複雑な形状をもち局所解を無数にもつ多峰性の評価関数となるため,局所解から脱出し最適解に効率良く到達するメカニズムが必要となることがわかった.このため,ノイズ項をともなったホップフィールド型ニューラルネットワークをツールとして利用するために, 1).確定的なものとしてカオス時系列から発生されるノイズを用いたもの 2).確率的なものとして,シミュレーティッドアニーリングを用いたガウシアンマシン をそれぞれ開発し,性能比較と定式化されたロバスト制御系と構造系の同時最適設計問題の適性を検討した.この研究は現在まだ進行中であるが,現在までの結果では,カオス時系列によるノイズを用いた方が性能的にもまた,問題との適性の面でもやや優れていることが明らかになり,これを本年5月に開かれる国際会議The Fourth Asian Fuzzy Systems Symposiumにて発表予定である.
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