1998 Fiscal Year Annual Research Report
環境負荷評価に基づくコンクリート製造材料の選定方法の開発
Project/Area Number |
10750355
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河合 研至 広島大学, 工学部, 助教授 (90224716)
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Keywords | 環境負荷 / コンクリート / LCA / コスト / 二酸化炭素発生量 / 廃棄物発生量 |
Research Abstract |
本研究は、コンクリートに使用される材料の生産過程を通じて発生する環境負荷要因を数量的に把握し、製造されるコンクリートの要求性能を満足することを前提として、環境負荷を最小限とする材料の選定手法を開発することを目的とする。本年度は、システムの構築を第一として取り組み、システムの可否の判断を容易とするため環境負荷要因は二酸化炭素排出量と廃棄物発生量に限定した。 環境負荷要因の数量化は、環境負荷コストという概念を導入することによって行った。すなわち、それぞれの行為に対して、環境に及ぼされた負荷を取り除くために必要な費用を求め、それを環境負荷コストとした。ただし、産業副産物の利用や廃棄物の再利用など環境負荷の低減に資する行為に対しては、その環境負荷が及ぼされたときに必要となるコストが排除されたと考え、絶対値の等しい負の環境負荷コストを付与した。従来のコストにこの環境負荷コストを加え、両者の和が真のコストとして評価を行うものである。 二酸化炭素排出量ならびに廃棄物発生量と環境負荷コストの関係を様々に仮定し、ケーススタディーを行った。第一のケーススタディーは、都市型廃棄物の焼却灰ならびに下水汚泥の乾粉が原料の約60%を占めるセメントの環境負荷コスト算定である。石灰石の脱炭酸反応を伴わないこと、焼成温度が低いことから二酸化炭素排出量が抑えられ、普通ポルトランドセメントの製造過程と比較して環境負荷コストが低い。さらに、多量の廃棄物を再利用することから、負の環境負荷コストも大きくなる。擁壁などのコンクリート構造物に関しても、材料の種類や工法を変化させてケーススタディーを行ったが、環境を意識した製品や構造物のコストが低く抑えられることが明らかとなった。 次年度では、検討対象とする環境負荷要因の範囲を広げ、ケーススタディーを通じてシステムとしての完成を目指す。
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