1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10750357
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
沖中 知雄 近畿大学, 理工学部, 助手 (90298985)
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Keywords | 阪神・淡路大震災 / 衝撃問題 |
Research Abstract |
阪神・淡路大震災において、多くの鋼構造物において座屈や脆性破壊といった不安定破壊現象が発生した。これらの脆性破壊のうち多くの事例では部材の大規模変形後に亀裂が発生・進展しており、地震により導入された塑性予歪みにより鋼材が脆化、脆性破壊を誘発した可能性が有る。そこで、阪神・淡路大震災により被災した阪神高速道路神戸線の橋脚より採取した鋼材に様々な材料試験を実施した結果、鋼材に導入された予歪みは、座屈部で鋼材板厚方向平均12.3%、非座屈部で4.4%という値が得られた。これは既往の研究で解析により求められていた値の数倍に達する値であり注目に値する。そこで本研究では、これらの歪みの導入過程を明らかにする事を目的とし、橋脚の地震時の挙動の数値解析を行った。本解析では、構造物の地震時の挙動を衝撃問題として解く事に着眼し、歪み速度依存性を考慮した構成則を用いる事により、阪神高速道路神戸線P-585橋脚の地震時の衝撃解析を行った。その結果、観測された地震動を入力データとして用いた場合、橋脚に与えられる歪み速度は10^<-2>程度のオーダーとなった。これは鋼材が一般に歪み速度依存性を発揮する下限の歪み速度を上回っており、地震時の鋼製構造物の挙動に歪み速度依存性の影響が含まれる事がわかった。しかしながら、非座屈部における残留予歪みはもっとも大きな値の観測された橋脚西側においても、その値は1%程度であり、実験で推測されたものを大きく下回った。観測された上下地震動をもとに実験で推測されるような残留予歪みを生じさせる為には、観測された上下地震動の約4倍程度の値を入力する必要が有り、4倍という値の妥当性に若干の疑問が残る。その為、他の橋脚との複合作用等、様々な条件下での解析を続行中である。
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Research Products
(1 results)