1998 Fiscal Year Annual Research Report
磁場における利用者の環境認識と生物の生息環境を考慮した磁環境モデルの構築
Project/Area Number |
10750383
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
志摩 邦雄 茨城大学, 工学部, 助手 (10241746)
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Keywords | 磁環境モデル / 生物生息環境 / レクリエーション利用者 / 磁名 |
Research Abstract |
本年度では、茨城県平磯・大洗海岸および福島県いわき海岸において、後背地の土地利用状況、産業形態や海洋動植物に関する文献、資料調査を行い、対象海岸の社会環境および自然環境を把握した。また、平磯・大洗海岸では、磯場のレクリエーション利用者(108人)に対し、アンケート調査を実施した。また、福島県いわき海岸を対象に、磯の位置および名称と陸上施設、特に集落や神社等の聖域との関係を調査した。以下に、得られた知見を述べる。 1. 大洗海岸は、県内有数の海水浴場で、景勝地でもあり130Kmの誘致圏を持っていた。平磯海岸は、磯釣り活動によって90Kmの誘致圏を得ていた。また、被験者の30%以上が認識していた生物は12種類で、潮間帯で生息、生育するものが9種類(75.0%)を占めた。磯釣り以外の利用者においても、生物に興味を示し、積極的に生物と接触(観察)しようとしているところに砂浜活動との違いが見られ、磯場が環境教育の貴重な資源を有していると言える。 2. 文献および茨城県水産試験場等へのヒアリングにより、認識された生物が生息するための環境条件の内、生息地分類(14種類中7種類)毎に捕食関係を整理した。浮遊性デトライタスは生息の基本となる最下位に位置し、上位に位置する鳥類(カモメ、シギ、チドリ等)との間でやりとりが行われている。 3. いわき海岸は、小名浜港の整備により年々海岸線延長が伸びており、総じて開発型の海岸であると言えるが、舞子浜ビーチ等の砂浜や塩屋崎等自然海岸も十分残された海岸である。それぞれの集落(漁港)の近海には、「明神様」と呼ばれる神磯が存在し、禁漁となっていたことが分かり、社会学的にも水産学的にも注目すべき磯である。 4. 平成11年度は、いわき海岸を中心に磯場の利用について調査・研究を行い、生物生息地分類を基に、利用者の認識も取り入れた磯環境モデルとして構築する。
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