1998 Fiscal Year Annual Research Report
締切堤の建設が沿岸部の干潟の消長に及ぼす影響の予測に関する研究
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10750391
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
西田 渉 長崎大学, 工学部, 助手 (20253635)
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Keywords | 締切堤 / 干潟 / 数値モデル / インターネット / 情報提供 |
Research Abstract |
本研究は、沿岸域の社会基盤整備が干潟の消長過程に与える影響を予測することを目的として進めてきており、本年度は、まず、沿岸域での開発が、流れや物質の流送に及ぼす影響を広域的に評価するための数値モデルを開発し、その適用性について検討した。つぎに、干潟の現地調査を実施すると共に、観測から得られた沿岸の干潟の現状と予測結果とを広域的に情報配信するシステムを構築している。 前者については、干潟の発達要因として浮遊懸濁物質に注目し、その流送過程を3次元的に評価できるモデルを開発している。このモデルを用いた解析から、締切堤が干潟に与える影響を明らかにするには、その周辺での流れの変化だけでなく、隣接する河川や海からの懸濁上粒子の流送量の変化と、締切堤周辺での化学的、生物学的な懸濁物質の生産もまた長期的な視点から評価せねばならないことを示した。また、干潟の変化をより妥当に予測するには、事前と事後だけではなく、締切堤の経年的な建設状況を考慮して物質の流送過程を評価することが必要であることも示されている。 後者については、水域の環境管理のための情報提供、住民への環境の現状を正しく理解する機会を増やすこと、などを目的として、現地観測の結果と数値モデルによって得られた結果とを広くインターネット上で提供するシステムを構築し、その一部はすでに一般へ公開している。このシステムでは、流況の把握のための画像と動画の各情報が提供されているが、一方で、公開している情報が短時間のうちに検索、表示可能なものとするようにデータ・ベースとして整備しており、2次的な利用にも対応できるように工夫されている。
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[Publications] M.Noguchi and W.Nishida: "Environmental Assessment for a Construction of Sea-dyke and Reclamation Project at Isahaya Bay of Japan,and Strategies to a Desirable Water Environment" Proc.of Ann.Meeting of Korean Environmental Impact Assessment.3-11 (1998)
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[Publications] 西田渉,野口正人,仁木将人: "調整池における淡水化過程と栄養塩に基づく水質変位" 長崎大学工学部研究報告. 第29巻,第52号. 139-144 (1998)
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[Publications] 西田渉,野口正人,柳本論: "締切堤の建設が河口部や沿岸域の干潟に及ぼす影響の予測" 水工学論文集. 第43巻(印刷中). (1999)
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[Publications] 仁木将人,西田渉,野口正人,橋本篤史: "諌早調整池の水質変化の予測とその評価に関する研究" 水工学論文集. 第43巻(印刷中). (1999)