1999 Fiscal Year Annual Research Report
締切堤の建設が沿岸部の干潟の消長に及ぼす影響の予測に関する研究
Project/Area Number |
10750391
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
西田 渉 長崎大学, 工学部, 講師 (20253635)
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Keywords | 干潟 / 締切堤 / 数値モデル / インターネット / 情報提供 |
Research Abstract |
沿岸域の改変が干潟の消長に与える影響を予測することを目的として、次の課題について研究が進められた。(1)水域の改変が物質の流動過程に与える影響を予測する数値モデルを構築し,事業の進捗に伴う干潟の時空間変化を明らかにする。(2)周辺水域での水質変化の機構と水質の長期的な予測方法を検討する。(3)環境管理の支援を目的とした水環境情報を作成し,その情報の提供手法を検討する。得られた成果は以下のとおりである.沿岸域の改変による物質流送の変化を検討するには,隣接する水域を含めた広範囲を対象にした流れ場の評価が必要であることが示され,解析手法として粗細格子法を用いたモデルが構築された。実測値との比較から本手法の妥当性が示され,構築された流れのモデルが十分な適用性を有していること,広範囲を対象とする影響予測に有効であること,が示された。また,干潟の変化については、流れの変化を始め,隣接水域からの懸濁土粒子の流送量の変化と,化学的,生物学的な懸濁物質の生産も長期的な視点から評価せねばならないことが示された。さらに,工事に伴う干潟の変化を予測するには,事前と事後の水域の状態を対象にした予測だけではなく,事業の経年的な建設状況を考慮した物質の流送過程を評価する必要があることも示された。つぎに,水質の変化について湾奥に造成された調整池を対象に検討を進めた。調整池のように降雨量の違いによる水質の濃度や汚濁物の貯留量の変化が無視できない水域では,降雨量の時間的な変化を考慮した予測方法によらなければならないことが示された。また,懸濁物質については,吹送流による底泥の巻上が予測され,懸濁物質の濃度増加の要因になることが示された。最後に,水域の環境管理のための情報提供システムが構築された。このシステムによって,水環境の現状と流れの実時間的な予測結果とがインターネットを用いて広域的に自動配信することが可能となった。
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[Publications] 野口正人: "調整池における栄養塩類の変化とその評価に関する研究"長崎大学工学部研究報告. 第29巻 第53号. 309-314 (1999)
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[Publications] 野口正人: "締切堤の建設が沿岸の干潟の消長に及ぼす影響"長崎大学工学部研究報告. 第29巻 第53号. 315-320 (1999)
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[Publications] M.Noguchi: "Impacts of a Construction of Sea-dyke and Reclamation Project on Water Quality at Isahaya Bay"Proc.of XXVIII th International Congress of IAHR. CD-ROM. 344 (1999)
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[Publications] M.Noguchi: "Pollutant Runoff and Its Effect on the Newly Constructed Regulatory Pond in a Bay"Proc.8 th International Conference of Urban Storm Drainage. vol.4. 1631-1638 (1999)
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[Publications] 野口正人: "沿岸域の水環境管理の支援を目的とした流れの数値予測手法の構築"水工学論文集. 第44巻. 1179-1184 (2000)