1998 Fiscal Year Annual Research Report
高強度材料を用いた接合面のせん断伝達性能に関する研究
Project/Area Number |
10750430
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河野 進 京都大学, 工学研究科, 助手 (30283493)
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Keywords | 鉄筋コンクリート / 接合面 / せん断耐力 / 摩擦作用 / ダウエル作用 / せん断摩擦補強 / 高強度コンクリート / 高強度鉄筋 |
Research Abstract |
本研究では、コンクリートの圧縮強度および接合鉄筋降伏強度の2つを実験変数にとり、高強度材料を用いる場合のせん断耐力評価法の為の実験式を導くのが本実験の目的である。実験では、直方体試験体を作製し、直接せん断実験より、次の3点に着目して研究を行った。(1)コンクリート強度及び接合鉄筋降伏強度を実験変数にとり、普通強度から高強度までの材料を用いる場合のせん断耐力評価法の為の実験式を導く。コンクリート圧縮強度は40MPaから100MPa,鉄筋降伏強度は350MPaから800MPaの範囲で変化させる。(2)せん断摩擦作用とダウエル作用を分離し、(A)それぞれの作用のせん断力伝達への貢献度の割合、(B)滑り量に対する貢献度の変化を評価する。(3)上記2項目の実験解析では、せん断耐力発揮時の滑り量を明確にする。 以上の実験の結果、本実験の範囲では、せん断接合面が比較的平滑なコンクリート接合面におけるせん断伝達性能に関して次の結論を得た。 1. 実験で得られた最大せん断耐力は接合筋の面積比と降伏強度の積の増加に対しては線形的に増加し,この関係はMattock等による提案式と同様に定数項と摩擦係数を用いた一次式で近似できる。 2. せん断耐力に占めるダウエル作用の寄与分は滑りとともにほぼ増加するが,滑りが4mmを超えた後の定常状態では全体の約5割から8割である。また,高強度の接合筋を用いた場合は,滑りの小さいときからダウエル作用の寄与が大きい傾向がある。現時点ではダウエル作用以外の寄与分が摩擦作用によるものと考えられるが、これはFタイプの試験結果が得られた時点で確認される。 3. 今回の実験では,コンクリート圧縮強度は,最大せん断耐力とその時の滑り量,またダウエル作用の寄与分に影響を与えなかった。しかし、接合面の凹凸が大きくなることで、コンクリート強度の影響が現われる可能性が有る。
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[Publications] 河野 進,柳田豊彦,田中仁史: "高強度材料を用いた接合面におけるせん断力伝達性能の評価" コンクリート工学年次論文報告集. Vol20 No3. 631-636 (1998)
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[Publications] 柳田豊彦,河野 進,田中仁史: "コンクリート打ち面におけるせん断力伝達性能の評価" 日本建築学会学術講演梗概集. C-2. 757-758 (1998)