1999 Fiscal Year Annual Research Report
高強度材料を用いた接合面のせん断伝達性能に関する研究
Project/Area Number |
10750430
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河野 進 京都大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30283493)
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Keywords | せん断接合面 / 高強度コンクリート / 高強度鉄筋 / ダウエル作用 / かみ合い作用 / 接合面粗さ / せん断摩擦理論 |
Research Abstract |
本研究では、打設時期が異なるコンクリートが接合筋を介して接続された接合面におけるせん断力伝達性能を,部材モデルを用いた直接せん断実験により評価した。用いた材料はコンクリート圧縮強度が30MPa,鉄筋降伏強度が350MPaから1000MPaの範囲であり,3シリーズ・計52体の実験体を用いた直接せん断実験から特に高強度材料がせん断力伝達性能に与える影響について調べた。 実験結果から、高強度材料を用いた場合の最大せん断耐力は,普通強度材料を対象とした既往の耐力式を用いても精度良く予想できないこと、接合筋の拘束によるコンクリートの摩擦項とコンクリートの粘性項にあたる定数項の和として表現すればよいことを確かめた。ただし、実験において800MPaを超える高強度の接合筋は最大耐力時に降伏しておらず、接合筋が与える拘束力は最大せん断耐力時の接合筋実応力を用いなければならない。これを基に、洗い出し,短形コッター,三角コッター,一体打ちの接合面仕上げに対して適用できる最大せん断耐力の予想式を提案した。また、接合面が正負繰り返し載荷を受ける場合には、載荷を繰り返すに従って処女載荷の時から徐々にせん断耐力は減少し、最終的にはコンクリートのかみ合い作用は磨耗により消滅してダウエル作用のみで外力に抵抗する。さらに、最大せん断耐力時の滑り量は接合筋の量や降状強度の増加に伴い数ミリ程度になる傾向があり、実際の部材接合部の設計に適用する際においては注意を要する。 せん断耐力に占めるダウエル作用の寄与分は滑りとともに増加するが,滑りが4mmを越えた後は全体の約5割から8割の間で一定となる。高強度接合筋を用いた場合は,滑りの小さいときからダウエル作用の寄与が大きい傾向がある。ダウエル作用により伝達されるせん断力は,コンクリート強度に影響を受けないが、コンクリートのかみ合いにより伝達されるせん断力の大きさは接合面の凹凸が大きくなるに従い、コンクリート強度の影響を受ける。 また、接合面の粗さを様々に変化させた実験から,接合面の粗さは滑りに伴って変化する開き量に影響を与え、開きは滑りと伴に伝達されるせん断力に大きく影響することが分かった。これは,ダウエル作用及びコンクリートのかみ合い作用により伝達される2種類のせん断力に共通する。但し,接合面の力学的挙動を説明する為に有用な接合面の粗さ指標は見つけられなかった。
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[Publications] Kono,S.: "Interface shear transfer for high strength concrete and strength reinforcement"12th World Conference on Earthquake Engineering. No.641. 1-6 (2000)
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[Publications] 河野進,: "高強度材料を用いた鉄筋コンクリート接合面におけるせん断耐力評価"JCI年次論文報告集. Vol.21 No.3. 871-876 (1999)
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[Publications] 河野進: "高強度材料を用いた接合面におけるせん断力伝達性能の評価"JCI年次論文報告集. Vol.20 No.3. 631-636 (1998)