1998 Fiscal Year Annual Research Report
相変化材料を利用したローエネルギーハウスの冷暖房エネルギーの削減効果
Project/Area Number |
10750433
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長野 克則 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80208032)
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Keywords | 潜熱蓄熱材 / PCM / 潜熱蓄熱 / 床冷房 / ピークカット / 省エネルギー / シミュレーション / 床冷房 |
Research Abstract |
平成10年度は大きくわけて2つの研究を行い、以下の知見を得た。 第1番目は、東京の断熱・気密住宅を対象として、通常の空調機による冷房と、現在広く普及している床暖房を夏期の冷房に用いることを想定した土壌熱利用型の床冷房、およびこれと潜熱蓄熱材併用方式を取り上げ、ピークカット効果と省エネルギー性について数値解析から検討した。その結果、従来の空調機だけによる値を1.0とすると、空調機動力のピークは土壌熱による床冷房を併用した場合には0.59、さらに、床内に潜熱蓄熱材を10kg/m^2埋設した場合には0.48となり、土壌熱による床冷房と潜熱蓄熱材の併用によるピークカット効果が非常に大きいことを明らかにした.また、冷房期間合計の空調機負荷は、土壌熱による床冷房併用の場合には0.22、潜熱蓄熱材併用の場合には0.18と、空調機動力を大幅に減らせることを示した. これら結果を基に、第2番目として、融点が10℃〜30℃を有しており潜熱蓄熱材として利用できそうな物質を便覧、文献などから抽出し、安全性・毒性・安定性・価格などの点から、プロピレングリコール、硫酸ナトリウム10水和物、硝酸マンガン6水和物を選択した.これら3種類の物質について熱分析装置により、融点、凝固点、過冷却度、潜熱量とその幅を調べた結果、硝酸マンガンが潜熱量の大きさと幅、融点の面からパッシブ型冷暖房に用いるための潜熱蓄熱材として最も有望であることが示された.現在、種々の添加剤を加えて、融点の調整と過冷却度の減少を試みている段階である.また、実際の容器内に封入したときの熱応答を把握するための試験装置を作成し、試験的に調合した潜熱蓄熱材を対象として加熱・冷却を繰り返し行い、潜熱の出現および融点と凝固点、物質の安定性について試験を行っているところである.これらについては、2年度目も継続的に行い、実用化に近いレベルの蓄熱材の開発と検証を行っていく予定である.
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