1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10750437
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
寺島 貴根 三重大学, 工学部, 助教授 (90217422)
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Keywords | 多層壁体 / 結露 / 再蒸発 / 熱伝導率 / 平衡含水率 / 水分拡散係数 / 熱水分同時移動 / 屋根スラブ |
Research Abstract |
本研究は平成10年度および11年年度の2年間で行われる予定であり、今年度における中間報告と得られた研究成果を次に述べる。はじめに材料として選ばれたケイ酸カルシウム板、気泡コンクリート板の熱・水分物性値すなわち水分拡散係数および熱伝導率・平衡含水率を実測した。熱伝導率の測定は現有の熱伝導率測定装置を用いて測定した。含水率勾配に対する水分拡散係数の測定は定常法によって行った。材料内の含水率分布の変動を電子天秤による重量測定法によって測定した。また温度勾配に対する水分拡散係数は、材料に温度差を設定した後、温度分布と含水率分布を測定しその結果から計算によって求めた。その結果、信頼性の高い物性値データが得られた。次に2層壁体(多層壁体の基本的なケース)の実験モデルとして、前述の材料板を組み合わせ圧着して2層の壁体試料を作成した。これらを用いて屋根スラブを想定した壁体の結露・再蒸発実験を行った。予め実験試料を多数用意し、それらの側面および底面を断湿した。銅板上にこれら実験モデル試料を多数配置し試料の側面を断熱した。試料の載った銅板全体を恒温恒湿室に設置し銅板下面を水で冷却し室内空気の温湿度をある条件に設定した。試料が室内側表面から吸湿し、含水率が徐々に上昇した。材料含水率が定常状態になった後、室内空気の湿度を下げて試料内の水分を放湿した。これら過程中の材料内含水率分布および温度分布、室内温湿度の連続測定を行った。熱電対による室内外空気温度および材料内の温度分布測定の記録には温度集録装置を使用した。またデータの整理および計算には電子計算機を用いた。この実験において2層壁体モデル中の含水率分布の変動特性が把握された。これら成果は来年度の日本建築学会等において公表する予定である。来年度においては得られた物性値を用いて、測定された結露・再蒸発過程における材料内の水分挙動解析を行う予定である。
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