1998 Fiscal Year Annual Research Report
居住者の生活活動から発生する揮発性有機化合物発生量の定量化に関する研究
Project/Area Number |
10750442
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
岩下 剛 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (90253905)
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Keywords | ホルムアルデヒド / デカン / 吸着 / 脱着 / チャンバー / 珪藻土パネル |
Research Abstract |
建材や人間活動から放たれるホルムアルデヒドや、揮発性有機化合物が、室内空気環境へ及ぼす影響が近年、問題となっている。これらの化学物質の発生量を、温湿度・換気量が制御できる実験箱(以下チャンバー)を用いて算定し、データベース化する試みが欧米を中心に行われている。チャンバー内の化学汚染物質の濃度経時変化から、時系列の発生量を求めるのだが、そこでは、化学物質はチャンバー壁面には吸着しないことを仮定している。しかし、実際の居住空間では、様々な内装材が用いられており、その吸着性能ら異なると考えられる。そこで、本研究では、居住者の生活活動において発生する化学物質の内装材への吸着・脱着効果を考察することを目的とした。 ホルムアルデヒド、デカンをチャンバーに発生させる空気汚染物質として選択し,内装材として、珪藻土パネル、ビニールシート、カーペット(45cm×30cmサイズ)を選び、チャンバー内に設置した。チャンバーの容積は0.28m^3であり、換気回数1回/時の換気を施した。ホルムアルデヒド、デカンは、チャンバーの外に設置したジャーから送掃ファン及びダクトを介して、一定量のガスがチャンバーへ供給される。ホルムアルデヒド濃度の測定は、AHMT法により、デカン濃度の測定は、活性炭チューブに吸着させ、GC/FID法により行った。空気汚染物質発生中及び、発生停止後の濃度減衰データから、米国環境保護庁の研究グループが用いている吸着・脱着モデルを用いて、各内装材の吸着係数、脱着係数を算出した。その結果、珪藻土パネル、カーペットは吸着係数が大きく、脱着係数が小さいため、ホルムアルデヒド、デカンに対する吸着性能が高いことがわかった。一方、ビニールシートは脱着係数も大きいため、吸着性能は低い結果となった。
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[Publications] 佐藤剛、岩下剛: "ホルムアルデヒド及びVOCの内装材への吸着・脱着に関する研究" 日本建築学会研究報告九州支部環境系. 第38号(発表予定). (1999)
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[Publications] Go Iwashita,Hiroshi Akasaka and Ken-ichi Kimura: "Study on the composite effects of perceived air pollution from building materials and adhesives" Proc.of ICHES,98. 631-634 (1998)