1998 Fiscal Year Annual Research Report
地方拠点都市の中心市街地における居住空間イメージの形成研究
Project/Area Number |
10750446
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
瀬戸口 剛 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20226674)
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Keywords | 中心市街地 / 都市居住 / 地方拠点都市 / 都市計画 |
Research Abstract |
本研究は平成10〜11年度の2カ年にわたるものである。北海道内の拠点都市を対象とし、中心市街地および周辺地域の居住実態および居住者の意向を把握した。対象都市の中心市街地は、バブル景気以降居住人口が減り、特に木造の一戸建て住宅や木造賃貸アパートが減少している問題点があげられる。中心市街地の居住人口の減少は、商店街の購買人口の低下など、中心市街地の活気の停滞を招いていると考えられている。 中心市街地では高齢者など、郊外では住みづらい世帯が居住する需要が比較的高い。国勢調査(1995)によると各都市とも中心市街地に近い地域で、単身高齢者や高齢夫婦世帯の割合が高い。それらの世帯の多くは、木造賃貸アパートなど住居費の安い賃貸住宅に住んでいる。本研究では、それら木造賃貸アパートに入居する高齢世帯とアパート所有者にアンケート調査を行った。入居者は買い物のしやすさや家賃の安さが気に入って住み続けている世帯が多く、住宅の質よりも地区の生活利便性を重視している。また、簡易な介護サービスなどを求めている世帯は多い。所有者も高齢の世帯が多く、僅かな家賃を老後の生活保障として考えており、経営意欲はきわめて低い。 これらの結果から、本研究では中心市街地の居住環境整備として2つの方向性を見いだした。一つは老朽化した木造賃貸アパートを高齢者向けのグループホームとして活用する方向である。アパートを妖修して共用の食事室を設けるなど、食事と簡易なサービスが伴う賃貸住宅へと転用することで、高齢者の需要に対応することができる。もう一つは民間活力による公共住宅の整備である。中心市街地を対象に借上型公営住宅を重点的に供給するなど、高齢者など生活弱者が中心市街地周辺に居住できる居住環境整備が求められる。 平成11年度は、これらの現状分析と市街地整備の方向性にもとづいて、中心市街地における居住像を明確にする。
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Research Products
(1 results)